新型コロナウィルス(COVID-19)世界感染は、感染者559万1,067人、死者35万509人と依然鎮静化がみられず、世界保健機関(WHO)は、“世界はまだ第一次感染流行の途上にある”と、安易な外出自粛解除、経済活動再開を思い止まるよう注意喚起している(米ジョンズ・ホプキンス大学集計5月27日午後1時半現在のデータ引用)。
5月26日付
『AP通信』他:「COVID-19感染流行問題に関わる直近の状況」
<注目ニュース>
●米国;死者が10万人に迫る中、ニューヨーク株式市場は感染流行前まで急伸。
●ブラジル;ボルソナーロ大統領が都市封鎖解除を州知事等に強く要求するも、国内外から死者2万4千人という公式発表は過少申告と非難の声。
●ロシア;感染流行収束が見えない中、プーチン大統領は威信を見せるべく、延期していた対ドイツ戦勝記念の大軍事パレードを6月24日に行うと発表。
●イタリア;死者が3万3千人に届こうとする中、観光収入獲得のため世界遺産見学受け入れを続々再開。
<米国>(感染者168万1,418人、死者9万8,929人)
・ニューヨーク株式市場は、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)明けの5月26日、COVID-19感染前のレベルまで急伸。
・全国で都市封鎖等の措置が始まった2ヵ月前と違い、州毎に多少の違いはあるが、外出自粛解除、経済活動再開の動きが出始めたことから、ニューヨーク・ダウ平均株価は+529.95(+2.17%)、S&P500銘柄指数も+36.32(+1.23%)と好感。
・但し、死者は10万人に迫り、また、衣料品チェーンJ. クルー、大手百貨店チェーンJ.C.ペニー及びニーマン・マーカスに続いて、直近2日間で、レンタカー大手のハーツ及び南米最大のランタム航空(チリ)が立て続けに倒産する程、経済状況は最悪。
・10万人の死者は、朝鮮戦争(編注;1950~1953年、戦死者3万3,686人)及びベトナム戦争(編注;1955~1975年、戦死者5万8,718人)における戦死者合計を大きく上回る。
・一方、米政府は5月26日、米国市民を除きブラジルからの入国を禁止。
<ブラジル>(感染者39万1,222人、死者2万4,512人)
・感染者世界2位、死者も世界6位となっているが、ジャイール・ボルソナーロ大統領は、州知事、大都市圏市長の推す都市封鎖措置を可及的速やかに解除するよう圧力。
・WHO緊急事態対策責任者のマイク・ライアン氏(アイルランド外科医及び疫学専門家)は、同国の感染流行度合が“非常に著しい”ので、経済活動を犠牲にしても都市封鎖解除は思い止まるべきだと警鐘。
・一方、国内外からは、死者2万4千という公式発表は、アマゾン地域の死者数を含めていない等から、実際の死者数は更に甚大なはずだとの非難の声。
<ロシア>(感染者36万2,342人、死者3,807人)
・5月9日、同国は対ナチスドイツ戦勝記念75周年を祝ったが、ウィルス禍のため軍事パレードは延期。
・感染状況改善は見られない中、就任20年で支持率が最低値となったウラジーミル・プーチン大統領は、威信を内外に示すためか、“感染状況は収まりつつある”として、当該大軍事パレードを6月24日に挙行すると発表。
・同国の死者数が異常に少ないとして、内外専門家が疑問の声を上げているが、政府は過少申告を否定。
<イタリア>(感染者23万555人、死者3万2,955人)
・感染度合が落ち着いてきたとして、ジュゼッペ・コンテ首相が、都市封鎖措置を徐々に解除すると発表。
・これに伴い、経済活動の多くを占める観光業復活のため、まずポンペイ遺跡が5月26日に観光客受け入れを再開し、また、ローマのコロッセオ円形競技場跡等も6月1日から再開。但し、混雑を避けるための入場制限、また、入場券をオンラインで予め購入する条件。
<インド>(感染者15万1,876人、死者4,346人)
・5月26日の感染者が+6,535人と、7日連続で最多記録更新。
・WHOのライアン氏は、南米及び南アジアの状況に鑑み、“COVID-19感染の第一波はまだ途上で、更に増える場合も、また、一時的に減少しても第二波もあり得る”として、安易な都市封鎖解除に警鐘。
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