米国と並んで新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なヨーロッパ。ドイツだけは感染者の爆発的拡大回避と医療崩壊の回避に成功している。その秘訣について、欧州メディアが関心を寄せている。
『ビジネスインサイダー』は、ドイツが、広範囲にわたる検査の実施と堅固な医療システムの組み合わせにより、コロナウイルスの感染拡大は抑制できるという見本を提示してくれていると報じた。
ドイツは現在、ヨーロッパの中でも最も感染者数が多い国の一つだが、死亡者数は世界の中でも最も低い国の一つとなっている。『ビジネスインサイダー』によると、コロナウイルスが1月に中国で流行していた頃、ドイツではまだ遠い国の出来事として捉えられていたという。1月末に初の感染者がドイツ国内で確認されたが、すぐにおさまるだろうとも考えられていた。
しかし1ヶ月後の2月末には感染者が48人に増加。ヨーロッパではイタリアの644人に次いで2番目に多い感染者数だった。ここからドイツは対応が速かったという。ドイツ当局は、学校を休校とし、デイケア施設を閉鎖。感染者と接触のあった人は14日間の自宅での自主隔離、感染が確認されていない場合でも、症状がある人と接触のあった人にも自主隔離を要請した。3月後半からは首都ベルリンで厳しい外出規制を導入。
同時に、1月から検査体制の強化に手を付け、2月中旬には大量に検査ができる体制が整えられた。イェール公衆衛生大学院のネイサン・グルボー(Nathan Grubaugh)教授は、「ドイツでは検査体制が一元化されていないため、全国の民間研究室が自由に検査体制を確立できた」と説明している。 4月2日時点で、ドイツの民間研究所は、新型コロナウイルスの検査を累計100万人分実施したという。こうした検査への早期アクセスにより、ドイツは感染者を適切に確認し、接触者を自主隔離させ、治療が必要な人々に適切な治療を提供することができたという。
『リベラシオン』によると、ドイツでは3月23日から29日の1週間に、143の研究所が354,521人の検査を実施し、そのうち30,741人が陽性だったという。ドイツ医師会によると、ドイツにはコロナウイルスを検査できる200から300の研究所があるため、実際には、検査数はもっと多いと言える。なお、ドイツとは逆にフランスでは、2月24日から3月27日までの約1ヶ月の検査人数が200,000人未満となっている。
そして『フランス アンフォ』によると、新型コロナウイルスが流行している間も、ドイツの病院では医療崩壊は全く起きていないという。感染者数をある程度抑えることができているため、その間に、例えばある病院では産婦人科が、集中治療ができるように整備され、産婦人科病棟のスタッフも人工呼吸器の使い方の訓練を受け、緊急ではない手術は延期され、感染者の受け入れ態勢を整えることが出来たという。現在、ドイツ国内では病床がまだ2万人分空いているという。
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