米カリフォルニア州議会下院は20日、太平洋戦争中に日系人が敵国からの移民とみなされ、同州など西海岸を中心に約12万人が強制収容所に連行されたことについて、公民権や自由を擁護できなかったとして公式に謝罪する決議案を満場一致で可決した。
『AP通信』や米
『CBSニュース』、英
『ガーディアン』などが報じた。今後、上院も同様の決議案を審議する予定で、これが可決されれば、ギャビン・ニューサム州知事の署名を待つこととなる。同州では金銭的な補償を行う予定はないという。
前日の2月19日、ニューサム知事は、1942年にフランクリン・ルーズベルト大統領が、日系人を米国西海岸やアーカンソー州など10カ所の収容所に連行する根拠となった大統領令に署名した同日を、日系人強制収容の追憶の日と宣言した。アイダホ、アーカンソーの両州知事も同様の宣言を行い、全米で各種の行事が行われた。
日系人の強制収容は1942年から4年ほど行われ、約12万人が家や財産、仕事を放棄し、家族と離別するなどの犠牲を払って抑留された。現在でも全米最多の約43万人の日系人が住むカリフォルニア州には、当時10カ所の収容所の内の2カ所が存在していた。
同決議は、1913年に同州が、主に日系人の農民を標的として、市民権獲得資格のない外国人の土地所有および長期の賃借を禁じた「外国人土地法」を定めた頃には、州内で反日系人感情が育っていたとしている。そして、同州は7年後、全ての日系人に農地の購入を禁じた。決議は、その後日系人を排斥する法律が次々と制定された事実を踏まえ、公民権や自由を擁護できなかったことを州として公式に謝罪した。また、「過去の過ちから学び、そうした自由への攻撃が再び起こらないようにすることが重要だ。」などと明記した。
決議案の提出を主導した日系3世のアル・ムラツチ議員(民主党)は、沖縄の米軍基地で生まれ、ロサンゼルス南西部の同議員の選挙区には、カリフォルニア州最大の日系人コミュニティーの1つがある。ムラツチ氏は、トランプ政権のイスラム圏諸国に対する入国制限や、メキシコ国境で不法移民の家族を引き離して拘束していることなど、最近の移民をめぐる動きに触発され、日系人の懸念を背景に本法案を提出したと説明している。
連邦レベルでは、1983年に米連邦議会の委員会が、日系人の収容は「人種的偏見、戦争ヒステリー、政治的リーダーシップの失敗」の結果であると結論付け、1988年にロナルド・レーガン政権が公式に謝罪し、各被害者に2万ドルの賠償金を支払った。
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