中国発の新型コロナウィルスは、収まるどころか依然猛威を振るっている。そうした中、今週末にサウジアラビアで開催予定の主要20ヵ国(G-20)財務相・中央銀行総裁会議に中国代表が欠席、また、4月開催の上海フォーミュラ1レース並びに北京モーターショー2020が延期となっている。にも拘らず、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に出席した中国外相は、“新型コロナウィルスは効果的にコントロールされている”と大見えを切っている。
2月20日付米
『AP通信』:「中国外相、ASEAN加盟国に集団感染問題は収束中とアピール」
中国外交部(省に相当)のトップは2月19日、ASEAN加盟国に対して、湖北省(フーベイ)で猛威を振るっている新型コロナウィルスは“効果的にコントロールされつつある”と断言した。
ビエンチャン(ラオス首都)で開催中の、ASEAN外相会議に出席している王毅(ワン・イー)外交部長が発言したもので、“早急なる集団感染収束”をもたらすことができると強調した。...
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2月20日付米
『AP通信』:「中国外相、ASEAN加盟国に集団感染問題は収束中とアピール」
中国外交部(省に相当)のトップは2月19日、ASEAN加盟国に対して、湖北省(フーベイ)で猛威を振るっている新型コロナウィルスは“効果的にコントロールされつつある”と断言した。
ビエンチャン(ラオス首都)で開催中の、ASEAN外相会議に出席している王毅(ワン・イー)外交部長が発言したもので、“早急なる集団感染収束”をもたらすことができると強調した。
ASEAN加盟10ヵ国中、既に6ヵ国(シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア)で新型コロナウィルス感染患者が認められている。
だが、同外交部長は、湖北省及び武漢市(ウーハン)における集団感染問題が対応可能な状態になりつつあり、また、湖北省外の感染者数が15日間連続で減少しているのみならず、治癒者数が増加しているとした。
更に同部長は、昨年12月に発生して以来、治癒者数の方が新たな感染者数を初めて上回っているとも言及した。
これに対して、タイのドン・プラマドワイナイ外相は、十数年前の重症急性呼吸器症候群(SARS)の集団感染も収束させていることから、“今回も中国がしっかり収束させてくれると期待している”と述べた。
一方、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は2月18日、『AP通信』のインタビューに答えて、新型コロナウィルスは“制御不能という訳ではないが、現状では非常に危険な状況にある”とコメントしている。
なお、今月初めにブルネイで開催予定だった、中国とASEANによる“南シナ海領有権に関わる行動規範(COC)”に関する交渉会議は、新型コロナウィルス問題のために延期されている。
また、同じく、中国がメコン川流域開発について関係国のASEAN4ヵ国との会議も、現地のメコン川でなくラオス開催に変更されている。
同日付中国『新華社通信』:「王毅外交部長、ASEAN高官及びフィリピン・シンガポール外相と新型コロナウィルス対策協議」
ラオス訪問中の王毅外交部長は2月19日晩、ASEANのリム・ジョック・ホイ事務局長、フィリピンのテオドロ・ロクシン外相、シンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相と会談し、新型コロナウィルス対策に協力して対抗していくことを確認した。
特に、ASEAN事務局長に対して、新型コロナウィルス問題含めて、今後とも中国・ASEAN間相互協力関係を継続していくべく、主体的役割を期待したいと述べた。
これに対して、ASEAN側からは、中国・ASEAN間協力協定に基づいて、今後とも戦略的パートナーの中国との連携を強化していくと強調した。
なお、同事務局長は、来年は中国・ASEAN対話が始まって30年の節目の年を迎える、と述べた上で、中国が推進している一帯一路経済圏構想に積極的に関わっていく意向であるとも言及した。
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