トランプ政権はこれまで、反米政権のニコラス・マドゥロ大統領を痛み付けるべく、反体制派のフアン・グアイド国会議長を暫定大統領と認め、支援してきた。しかし、マドゥロ政権には中国・ロシアが深く関わってきており、同政権を力づくで交代させることができない状態となっていた。ただ、反米政権打倒方針は変更しておらず、米政府はこの程、マドゥロ政権の頼みの綱とする同国石油公社PDVSAに巨額の金融支援を行っているとして、ロシア国営石油企業ロスネフチの販売子会社に経済制裁を科すことを決定した。
2月19日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「米政府、ベネズエラに不当な資金支援をしたとしてロシア石油販売会社に経済制裁」
トランプ政権は2月18日、ロシア国営石油企業ロスネフチの販売子会社に対して経済制裁を科すことを決定したと発表した。
声明によると、ロスネフチ・トレイディング社及びディディア・カシミーロ社長に対して、資産凍結並びに国際金融システムからの締め出しという制裁を科したという。...
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2月19日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「米政府、ベネズエラに不当な資金支援をしたとしてロシア石油販売会社に経済制裁」
トランプ政権は2月18日、ロシア国営石油企業ロスネフチの販売子会社に対して経済制裁を科すことを決定したと発表した。
声明によると、ロスネフチ・トレイディング社及びディディア・カシミーロ社長に対して、資産凍結並びに国際金融システムからの締め出しという制裁を科したという。
米政府はこれまで、反米政権のマドゥロ大統領を失脚させるべく、経済制裁を科してきたが、同社がことごとく妨害してきたという。
マイク・ポンペオ国務長官は声明の中で、ベネズエラ産原油の販売・輸送を一手に引き受けてきた張本人だとした上で、“同社がベネズエラ国民を抑圧する独裁者マドゥロを支援してきている”と批判した。
在ベネズエラ米国特命全権大使のエリオット・エイブラムス氏は、同社は2011年にスイス法人として設立され、2014年以来米国による経済制裁が科されている親会社のロスネフチに代わって、ベネズエラ石油公社を助けてきたとする。
具体的には、同社がベネズエラ原油を買い付けた後、輸送原油タンカー名を偽ったりして、主としてアジア諸国に制裁対象のベネズエラ原油を納入してきた、という。
米高官は、ドナルド・トランプ大統領も今回の措置を承認しており、同大統領はかつてウラジーミル・プーチン大統領と会談した際、ロシアがベネズエラを支援することに反対である旨伝えているとも言及した。
一方、ロシアのパベル・ザワルニィ国家院議員(編注;下院相当のロシア議会議員で与党・統一ロシア副党首。エネルギー委員会委員長及びロシア天然ガス協会理事長を兼務)は、米政府の経済制裁に拘らず、これからもベネズエラを支援していくと表明している。
なお、米国他60余りの国々は、2018年の大統領選は合法でなかったとし、グアイド議長を暫定大統領と認めている。
一方、同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「ロシア政府、米国によるロスネフチ子会社への経済制裁でもロシア・ベネズエラ間関係は毀損されないと表明」
ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は2月19日、米政府がロスネフチ・トレイディング及びカシミーロ社長に経済制裁を科すとの決定を酷評した。
米政府の言い分は、米政府の制裁を回避して、同社が制裁対象のベネズエラ産原油の70%余りも輸出しているというものである。
なお、在米ロシア大使館も、米国企業が依然ベネズエラで事業展開している中で、かかる一方的制裁を科すことは、不公平極まりないと批判している。
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