中国の保健当局は、新型コロナウイルスの感染者に対し、既に回復した患者の血漿を投与する新療法を実施している。当局は17日、試験的な段階であるが、効果がみられるとして、回復者に血漿の提供を呼びかけた。
『AFP通信』や
『ロイター通信』などのメディアが報じた。新型コロナウイルスCOVID-19の感染流行により、中国本土では既に1800人を超える死者が出ている。COVID-19の治療のためのワクチンや医薬品は未だ存在せず、製薬会社などは開発を急いでいるが、試験を経て実用化されるまでには、数カ月から数年を要する見込みだ。医師たちは、他の感染症に使用される抗ウイルス薬を試すなど、実験を繰り返している。
こうしたなか、中国の国家衛生健康委員会(NHC)は17日の記者会見で、既に回復した患者の血液から採取した血漿には、重症患者のウイルス量を減らす抗体が含まれていると発表した。...
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『AFP通信』や
『ロイター通信』などのメディアが報じた。新型コロナウイルスCOVID-19の感染流行により、中国本土では既に1800人を超える死者が出ている。COVID-19の治療のためのワクチンや医薬品は未だ存在せず、製薬会社などは開発を急いでいるが、試験を経て実用化されるまでには、数カ月から数年を要する見込みだ。医師たちは、他の感染症に使用される抗ウイルス薬を試すなど、実験を繰り返している。
こうしたなか、中国の国家衛生健康委員会(NHC)は17日の記者会見で、既に回復した患者の血液から採取した血漿には、重症患者のウイルス量を減らす抗体が含まれていると発表した。NHCの医療管理部門の責任者は、「重症患者に望みを与えることができるように、回復した患者全員に血漿を提供するよう呼びかけたい。」と述べた。
北京の中国国営医薬品メーカー、中国生物技術集団はこれに先立ち、感染の中心地である武漢の病院で、血漿を投与する試験に成功したと発表していた。同社は、血漿を注入された重症患者らの症状が、「24時間以内に改善した」と報告している。
また、中国科学技術省生物学センターの孫燕栄(Sun Yanrong)氏によると、武漢の病院では、先週11人の患者が血漿の投与を受け、1人は既に退院し、1人はベッドを出て歩けるようになり、他の患者も全員快方に向かっているという。孫氏は、「臨床研究により、(回復した患者の)血漿の注入が安全で効果的であることが示された。」と説明した。
さらに上海でも、回復者の血漿を注入する療法の試験を行っており、効果が出ているという。上海公衆衛生診療センターの盧洪洲(Lu Hongzhou)教授は17日、同センターが血漿療法を行う専門クリニックを開設して血漿提供の意思のある患者を選び、肝炎などの他の病気がないかを確認して血漿を投与しているが、「非常に有効である」と述べた。
世界保健機関(WHO)で衛生緊急事態対応の統括者を務めるマイク・ライアン氏は、ジュネーブで記者団に対し、回復期の患者の血漿は、狂犬病やジフテリアのような他の感染症で「有効で命を救う」ことが証明されているとして、「追求すべき非常に重要な分野である。」と強調した。
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