市場調査会社カナリスは、中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)の2019年の中国市場でのスマートフォン出荷台数が、前年比約36%増の1億4200万台だったと明らかにした。同国のスマホ市場は縮小し、第5世代移動通信システム(5G)対応機種に需要が移行しつつあるが、米アップルや国内の競合会社が苦しむ中で台数を大きく伸ばした。
『ロイター通信』や技術紙などの報道によれば、中国市場でのスマホ出荷台数は2019年の第4四半期、11四半期期連続で減少し、前年比15%減の8530万台にとどまった。4G対応機種の出荷台数は大きく減少、5G対応機種も予想ほどには伸びなかったという。
これにより中国市場での2019年通年の合計出荷台数は、前年比7%減の3億6900万台となった。ファーウェイの出荷台数は1億4200万台となり、前年比35.5%増の大幅な伸びを記録した。...
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『ロイター通信』や技術紙などの報道によれば、中国市場でのスマホ出荷台数は2019年の第4四半期、11四半期期連続で減少し、前年比15%減の8530万台にとどまった。4G対応機種の出荷台数は大きく減少、5G対応機種も予想ほどには伸びなかったという。
これにより中国市場での2019年通年の合計出荷台数は、前年比7%減の3億6900万台となった。ファーウェイの出荷台数は1億4200万台となり、前年比35.5%増の大幅な伸びを記録した。一方、米アップルのアイフォーン(iPhone)は、前年比約21%減の2750万台となり、中国のライバル企業も、シャオミ(小米科技)が21%減、オッポ(Oppo、欧珀)が17%減、ビボ(Vivo、維沃)が19%減と、ファーウェイの一人勝ちだった。
中国でのスマホ販売は、消費者がより多くの5G対応機種の登場まで待つこととしたために買い控えが広がり、2018~19年の間伸び悩んだ。5G対応機種は、ファーウェイが4機種、シャオミが2機種を既に販売している。中国は今年、多くの大都市に5Gのネットワークを展開するため、アップルや他の中国メーカーも対応機種を発売する予定だ。
ファーウェイは、米中貿易摩擦の渦中にあり、同社の機器が米国の安全保障上の脅威であるとして、米企業の部品やサービスの同社への供給禁止などの制裁措置を受けており、不利な立場に置かれている。実際、米グーグルのサービスが受けられなくなったことなどにより、海外での販売台数は伸び悩んでいる。
しかし、中国市場でのファーウェイの販売力には殆ど影響はないようだ。米制裁は中国人の愛国心に火をつけることとなり、国内での同社のスマホ販売台数をさらに押し上げることとなった。また、同社の積極的な販売活動も功を奏している。
英国のジョンソン首相は28日、ファーウェイを5Gネットワークの基幹部分からは排除するものの、アンテナや基地局などの一部の機器については納入を許し、開発への限定的な参入を認めた。ファーウェイにとっては追い風となり、機密情報が盗まれるとして同盟国にも同社の完全排除を求めてきたトランプ政権にとっては痛手となる。
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