クリミア半島併合以来欧州と敵対するロシアと、貿易紛争や覇権争いで米国とつばぜり合いを繰り広げている中国は、敵の敵は味方よろしく、何かにつけ連携強化を進めてきている。そしてこの程、両国間の蜜月の証しとして、ロシア極東産天然ガスを中国まで大量に供給する輸送プロジェクト「シベリアの力」が完成し、供給が開始された。両首脳もビデオ中継に登場して、“同盟”関係をアピールしている。
12月3日付米
『CNNニュース』:「ロシア~中国宛てのガスプロム社天然ガス輸送パイプライン“シベリアの力”が完成」
ロシア極東産天然ガスを中国にパイプラインで輸送する、年間数十億ドル(数千億円)の収益を生むプロジェクトが12月2日に日の目を見た。
正しく、中ロ両国の経済及び政治的蜜月関係を表示する事業である。
中国国営『新華社通信』の12月3日付報道によると、同プロジェクトは「シベリアの力」と命名された総距離8,100キロメーター(5,000マイル)以上に及ぶ天然ガス輸送パイプラインで、2024年までには年間380億立方メーターの輸送規模になるという。...
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12月3日付米
『CNNニュース』:「ロシア~中国宛てのガスプロム社天然ガス輸送パイプライン“シベリアの力”が完成」
ロシア極東産天然ガスを中国にパイプラインで輸送する、年間数十億ドル(数千億円)の収益を生むプロジェクトが12月2日に日の目を見た。
正しく、中ロ両国の経済及び政治的蜜月関係を表示する事業である。
中国国営『新華社通信』の12月3日付報道によると、同プロジェクトは「シベリアの力」と命名された総距離8,100キロメーター(5,000マイル)以上に及ぶ天然ガス輸送パイプラインで、2024年までには年間380億立方メーターの輸送規模になるという。
同プロジェクトの操業開始式典には、習近平(シー・チンピン)国家主席及びウラジーミル・プーチン大統領がビデオ中継に登場して、同プロジェクト完成を祝った。
ロシア国営『タス通信』は、プーチン大統領が、このプロジェクトの完成によって、両国間においていよいよエネルギーのみならず全方面での戦略的パートナーシップが強化されることになると語ったと報じた。
ロシア国営ガスプロム社(1989年設立の世界最大の天然ガス生産・供給企業)の運営する同プロジェクトは、2014年に習・プーチン両首脳の基本合意で推進されることになった、総額4,000億ドル(約44兆円)に上る大事業である。
2014年に事態が大きく動いたのは、同年2月のロシアによるクリミア半島併合に伴う欧州による対ロシア制裁が契機になっているとみられる。
一方、中国としてもここ数年、大気汚染や温室効果ガス削減問題に対応する必要に迫られ、石炭火力から他エネルギー源への転換に取り組まざるを得なくなってきている。
上記のロシア産天然ガス輸送事業に加えて、中国は今年4月、米石油大手エクソン・モービルと液化天然ガスの20ヵ年売買契約を締結している。
また、『新華社通信』によると、中国は2030年までに総エネルギー源に占める天然ガスの比率を15%まで高めることになるという。
更に、もうひとつの“クリーンエネルギー”である太陽光発電規模において、中国は2021年までに欧州連合(EU)を凌駕することになると見込まれている。
なお、習・プーチン両首脳の下で、中ロ間貿易高は2018年に、前年比+30%の1,070.6億ドル(約11兆7,770億円)まで大幅増となっている。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「ロシア/シベリア~中国/上海のガスパイプライン事業完成で米国“戦略的影響力”を減殺」
12月3日に操業を開始した、ロシア/シベリアから中国/上海を繋ぐ天然ガス輸送パイプライン事業の完成によって、これまで世界のエネルギー市場を席巻していた米国の制圧権を減殺することになろう。
国際外交・安全保障問題研究者のマーク・スレボダ氏は12月2日、『スプートニク』のインタビューに答えて、同プロジェクトはロシア天然ガス業界にとって最大の事業であり、これによってロシアの外交政策を大きく飛躍させることになろうとコメントした。
また、輸送パイプラインが敷設されたということは、両国間の揺るぎのないエネルギー協力関係が構築されたことであり、かつ、これによって両国は、これまで世界のエネルギーを牛耳ってきた米国に対する強力な対抗勢力となる、と付言した。
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