スーダンの暫定統治機構が5日に明らかにしたところによると、同国で初の人工衛星が、中国から打ち上げられた。衛星の利用目的としては、軍事、経済面や宇宙開発技術の研究などが考えられている。
中国国営の新華社通信の報道を受けて、
『AFP通信』や英
『デイリー・テレグラフ』などが報じた。新華社通信によれば、スーダンの遠隔探査用衛星SSRS-1は3日、中国北部の山西省にある発射台から打ち上げられた。中国がスーダン初の衛星の打ち上げを担ったことで、両国関係の緊密化が浮き彫りになった。
スーダンの暫定統治機構「最高評議会」のアブデル・ファタハ・ブルハン議長が、首都ハルツームで行われた安全保障当局の会合で衛星の打ち上げを発表した。最高評議会は、衛星の利用目的について声明で、「衛星の用途としては、宇宙開発技術の研究や、国の軍事上のニーズのためのデータ収集や天然資源の探査などを想定している。」とした。
最高評議会の報道官はメディアに対し、「中国はこのプロジェクトのパートナーであり、衛星を発射した。」と同国との関係を説明したが、「今後数か月で、衛星はスーダンから監視されるようになるだろう。」と述べた。衛星は中国の民間企業が製造したという。
スーダンは経済危機に苦しむ一方、国家の宇宙技術開発計画を数十年にわたり推進している。バシル前大統領時代の2013年には、同計画の一環として、航空宇宙研究所(ISRA)を設立した。同計画には、人工衛星の観測装置で地表付近の情報を収集するリモートセンシング(遠隔探査)や、ジオインフォマティクス(地球情報学)などの活動が含まれる。
バシル氏は、30年にわたり同国大統領の座を維持していたが、退陣を求める大規模な反政府デモなどの一連の抗議活動が行われた後、今年4月の軍のクーデターによって失脚している。外貨の慢性的不足や高インフレ率などを起因とした経済危機をきっかけに、同氏に対する抗議活動が全国的に拡大した。
軍はクーデターにより実権を握ると、200人以上の人々を殺害し、抗議活動を鎮圧した。スーダンは1993年に米国からテロ支援国家に指定され、その後も指定は解除されていない。アブダラ・ハムドク新首相は、民主的改革を維持し、破綻した経済を立て直すため、米国など西側諸国に敵視政策を止めて支援するよう求めた。しかし、各国が応じないため、スーダンは中国、ロシア、サウジアラビアなどへの接近を強めている。
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