ビジネスホテル事業等を手掛けるユニゾホールディングス(注1後記)は、旅行大手のH.I.S.から敵対的株式公開買い付け(TOB)を受けたり、それを救おうとホワイトナイトの通信大手ソフトバンク系の米投資ファンドから友好的なTOBを受けたりと、何かと経済紙を賑わせた。そして、いずれのTOB申し出も断っていた同社に、今度は世界最大級の投資ファンドのブラックストーン・グループ(注2後記)から好条件のTOBが出されることになり、世間はもとより、安倍晋三首相も注目するところとなるとみられる。
10月15日付
『ロイター通信』:「投資大手ブラックストーン、日本の中堅ホテル事業会社買収に再度名乗り」
世界最大級の投資ファンドの一社であるブラックストーン・グループは10月15日、日本の中堅ホテル事業会社ユニゾホールディングスに対して、より好条件のTOBを申し出ることにしたと発表した。
今回提案したのは、ユニゾの現状株価4,700円を上回る1株当たり5,000円で、ユニゾの総評価額として1,711億円(16億ドル)に相当することになる。...
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10月15日付
『ロイター通信』:「投資大手ブラックストーン、日本の中堅ホテル事業会社買収に再度名乗り」
世界最大級の投資ファンドの一社であるブラックストーン・グループは10月15日、日本の中堅ホテル事業会社ユニゾホールディングスに対して、より好条件のTOBを申し出ることにしたと発表した。
今回提案したのは、ユニゾの現状株価4,700円を上回る1株当たり5,000円で、ユニゾの総評価額として1,711億円(16億ドル)に相当することになる。
更に、先月末にユニゾが受け入れを拒んだ、通信大手ソフトバンク系列の米投資ファンドのフォートレス・インベストメントが提案した1株4,000円を遥かに上回るものである。
フォートレス・インベストメントについては、今年7月に旅行大手のH.I.S.から敵対的TOBをかけられた際、それを救済するホワイトナイトとして現れたことから、H.I.S.が当該TOBを断念することになったものの、ユニゾ取締役会は9月末、フォートレス・インベストメントの提案も受諾しないとの決定をしていた。
これに対してユニゾの筆頭株主の米ヘッジファンドのエリオット・マネージメントは先週、ユニゾ取締役会に対して、突然のフォートレス・インベストメント提案拒絶決定に伴い、情報開示の欠如等を懸念するとの株主意見を伝えた。
かかる背景もあって、今回のブラックストーンのTOBの成り行きについて、安倍晋三政権が産業界に対して情報公開や透明性を要求してきていることから、より注目が集まることになっている。
フォートレス・インベストメントの提案を呑まなかったのは、ユニゾが逆提案した“ユニゾ従業員持ち株管理会社”について、受け入れられなかったためとされている。
一方、ブラックストーンは声明で、ユニゾ従業員の持ち株制度やインセンティブ・ペイメント(早期退職等の奨励賃金制度)の採用を認めるとした上で、10月23日までの肯定的な回答を待つとしながらも、場合によって“更なる検討”もする意向であるとしている。
なお、ブラックストーンは9月にもTOBを申し出ていたが、それがユニゾに受け入れられなかったことから、上記のような改善提案となったとみられる。
但し、ブラックストーンは、ユニゾが検討している、同社の新たな大株主が撤退する場合にユニゾ従業員の許諾を必要とするとのスキームについては受け入れられないと表明している。
(注1)ユニゾホールディングス(旧社名常和ホールディングス):1959年設立の、不動産事業(オフィスビルの賃貸・管理等)、ビジネスホテル事業(国内10ヵ所)、ゴルフ事業(千葉県八千代市)を手掛ける中堅の会社。資本金321億円、売上高561億円、純利益118億円、総資産6,936億円、従業員386人。本社は東京。
(注2)ブラックストーン・グループ:リーマンブラザースを退職したピーターソンとシュワルツマンによって1985年に設立。不動産投融資、ヘッジファンド、財務アドバイザリー等を営む世界最大級の投資ファンド。売上高71億ドル(約7,680億円)、純利益18億ドル(約1,940億円)、総資産344億ドル(約3兆7,150億円)、従業員2,360人。本社はニューヨーク。
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