国際通貨基金(IMF)は10日、温室効果ガスの排出量削減のために、「炭素税」が有効であるとの報告書を発表した。大気汚染の原因となる化石燃料の使用量が減少し、さらに大気汚染関連の死者を大幅に減らす効果もあるとしている。
『ロイター通信』『AFP通信』のほか、米
『CNBC』、英
『ガーディアン』など多くのメディアが報じた。IMFが来週の世界銀行などとの会合に先立って発表した本報告書によると、排出権取引や炭素税などの施策の炭素価格は現在、世界平均で二酸化炭素(CO2)1トン当たり2ドル(約216円)とされている。
IMFは、気候変動に関するパリ協定の目標に沿って、効果的な温暖化対策を実施するためには、2030年までに1トン当たり75ドル(約8,100円)の炭素税の課税が必要とした上で、世界各国が気候変動に関する見解の相違を乗り越え、結束して早急に対応すべきと訴えた。...
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『ロイター通信』『AFP通信』のほか、米
『CNBC』、英
『ガーディアン』など多くのメディアが報じた。IMFが来週の世界銀行などとの会合に先立って発表した本報告書によると、排出権取引や炭素税などの施策の炭素価格は現在、世界平均で二酸化炭素(CO2)1トン当たり2ドル(約216円)とされている。
IMFは、気候変動に関するパリ協定の目標に沿って、効果的な温暖化対策を実施するためには、2030年までに1トン当たり75ドル(約8,100円)の炭素税の課税が必要とした上で、世界各国が気候変動に関する見解の相違を乗り越え、結束して早急に対応すべきと訴えた。IMFの研究者らはブログで、「公正で経済成長に配慮した方法で導入された場合に限るが、炭素税は最も強力で効果的なツールとなる。」と述べた。
研究者らは、これにより各種コストの上昇が発生することを認めている。石炭の価格は3倍以上となり、天然ガスは68%急騰する。電気料金は、国により異なるが、カナダで30%以上、オーストラリアで70~90%、世界平均では43%値上がりする。ガソリン価格は殆どの国で5~15%上昇する可能性があるという。
石炭、石油、ガスなどの化石燃料の燃焼によって発生するCO2は、世界全体の温室効果ガス排出量の約3分の2を占めている。課税によりコストの増加を抑えたい消費者や企業などは、化石燃料の使用量を減らし、クリーンエネルギーへの転換を図ることが見込まれる。IMFはこの結果、温室効果ガスの排出量削減の効果が期待されると指摘した。
但し、炭素税がすぐに導入されると、現在は高価なクリーンエネルギーが広く普及するまでの間、エネルギーコスト全体が上昇してしまうため、同税をいかに受け入れられるものとするかは各国の政治の問題となる。IMFは、経済成長を阻害せずに、政府が消費者や企業に対し、炭素税の税収を利用して奨励策を提供していくことが求められると説明した。
IMFはさらに、20カ国・地域(G20)で75ドルの炭素税が導入されれば、2030年には中国などを中心に石炭などの使用量が減少し、大気汚染による死者が、現状から約72万5000人減る効果もあると主張している。
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