ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害問題をめぐり国連人権理事会が設置した調査団は16日、ミャンマー国内にとどまる約60万人のロヒンギャは、同国軍によって今なお「ジェノサイド(集団殺害)」の脅威にさらされており、バングラデシュなど国外に避難した100万人近くの人々の帰還は、まだ不可能であるとの報告書を公表した。
『AFP通信』や
『ロイター通信』などが報じた。人権理事会が設けた独立調査団は昨年、2017年のミャンマー軍の行為をジェノサイドであったと断定し、ミン・アウン・フライン総司令官を始めとする軍幹部の起訴を行うよう求めた。
約74万人のロヒンギャが、焼かれた村を逃れ、国境を越えて隣国バングラデシュの難民キャンプなどに避難した。そこには以前から迫害を逃れた人々がおり、キャンプは膨れ上がっている。...
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『AFP通信』や
『ロイター通信』などが報じた。人権理事会が設けた独立調査団は昨年、2017年のミャンマー軍の行為をジェノサイドであったと断定し、ミン・アウン・フライン総司令官を始めとする軍幹部の起訴を行うよう求めた。
約74万人のロヒンギャが、焼かれた村を逃れ、国境を越えて隣国バングラデシュの難民キャンプなどに避難した。そこには以前から迫害を逃れた人々がおり、キャンプは膨れ上がっている。避難した人々は、殺人、レイプ、拷問などが行われていたと証言した。
調査団は、17日にジュネーブの人権理事会に提出する最終報告書で、ミャンマー西部のラカイン州に残る約60万人のロヒンギャは、移動の自由を厳しく制限され、医療の受診や就業、教育など全ての社会的行為から遮断されており、なお劣悪で嘆かわしい状況に置かれていると説明した。「ミャンマーはなお、ジェノサイドを行う意思を持ち、ロヒンギャは、ジェノサイドの深刻なリスクの下に置かれたままである」と報告している。
報告書はまた、ミャンマーは「犯罪を否定し、証拠を破壊し、効果的な調査の実施を拒否した。ロヒンギャを追い出した土地で全てを一掃し、徹底的に破壊、没収し、新たな建築を行うなどしている」と指摘。2017年の弾圧では、4万超の構造物が破壊されたという。
調査団は、1,300人近くの証人の聞き取り調査により証拠を集め、安全保障理事会に対し、ミャンマーを国際刑事裁判所(ICC)に提訴するか、旧ユーゴスラビアやルワンダのように、特別法廷を設置するよう改めて求めた。また、昨年公表した6人の軍幹部に加え、ジェノサイドなどに関わった疑いのある100人超の人物を把握しているという。さらに各国の政府や企業に対し、ラカイン州での投資や開発の支援を一時的に停止するよう呼びかけ、ミャンマー軍とのビジネス上の関係を全面的に断つよう、繰り返し求めている。
バングラデシュとミャンマー両国は、2年前にロヒンギャ難民の帰還に関し合意し、覚書に署名したが、これまでは事実上、帰還した難民はいない。調査団はミャンマーの状況について、帰還は安全ではなく不可能であると結論づけた。
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