9月9日付Globali「ロシア統一地方選；プーチン大統領の与党“統一ロシア”が地方で薄氷の勝利もモスクワでは野党に惜敗」で報じたとおり、統一ロシア党首のドミートリィ・メドベージェフ首相は、ロシアの主導的勢力の地位を守ったとして勝利宣言をした。しかし、首都モスクワの市議会議員選挙では、野党候補からの20人余りの立候補届けを不受理としたにも拘らず、その他野党勢力の大攻勢を受けて、それまで9割近くを占めていた与党の議席数を5割以下に半減させられた。そこでプーチン政権は、2021年に予定されている国会議員選挙での野党勢力拡大の目を潰しておこうと考えたのか、野党勢力代表やその支持者宅に一斉に強制捜査に入って、インターネット・キャンペーンを妨害すべくスマートフォン等電子機器を押収してしまった。

9月12日付フランス『AFP通信』：「ロシア当局、野党勢力代表のナワルニー氏邸含めて一斉に家宅捜索」

ロシア当局は9月12日、野党勢力代表のアレクセー・ナワルニー氏や今夏の大規模反政府デモに参加した支持者宅を一斉に強制捜索した。

同氏は、ウラジーミル・プーチン政権が、首都モスクワの市議会議員選挙で与党議席数の大幅減少に遭って“ヒステリー”を起こした結果の暴挙だと酷評している。...

9月12日付フランス『AFP通信』：「ロシア当局、野党勢力代表のナワルニー氏邸含めて一斉に家宅捜索」

ロシア当局は9月12日、野党勢力代表のアレクセー・ナワルニー氏や今夏の大規模反政府デモに参加した支持者宅を一斉に強制捜索した。

同氏は、ウラジーミル・プーチン政権が、首都モスクワの市議会議員選挙で与党議席数の大幅減少に遭って“ヒステリー”を起こした結果の暴挙だと酷評している。

同氏は、“プーチン大統領が地団駄踏んで悔しがっている”はずだと表現した。

同氏によると、検察官や警察官が総動員されて、全国41都市に及ぶ野党関係者・支持者・親族の家宅捜索、並びに、同氏が代表を務める汚職根絶財団（ACF）事務所まで一斉強制捜査が行われたという。

同氏の代理人キラ・ヤーミッシュ氏は、当局が、反政府キャンペーン活動を“大掛かりに潰しにかかる”行為だと非難した。

なお、ロシア当局は今年8月、AFCに10億ルーブル（1,530万ドル、約16億円）の資金洗浄の容疑があると発表した上で、そのうち7,500万ルーブル（115万ドル、約1億2千万円）を差し押さえている。

これに対してナワルニー氏は、全て支援者等からの献金だとして容疑を全否定している。

また、AFCのアレクサンドル・ゴロバック顧問弁護士は、“大規模デモへの対抗措置として一斉強制捜査”を実施したに他ならないとツイートしている。

9月13日付英国『ザ・テレグラフ』紙：「ロシア全土41都市で数百人の公安警察による一斉強制捜査」

ロシア連邦保安庁公安官、捜査官、警察官、そして州兵らが9月12日午前6時（モスクワ時間）、ロシア全土の41都市において、野党勢力代表ナワルニー氏、AFC事務所や支援者宅等200余りの邸宅を一斉に強制捜査した。

AFCは全国45の都市に活動拠点を構えているが、そのほとんどに司直の捜査が及んだことになる。

同氏のペルミ（モスクワの約1,200キロメーター東部）事務所によれば、黒覆面の警察官らがドアをこじ開け、窓も破って侵入してきた上で、2台のノートパソコン、タブレット型PC、卓上型PCを没収していったという。

同氏は、野党勢力によるインターネット等を駆使した反政府運動を妨害するための措置だと非難している。