ドイツで1日に行われた東部2州の州議会選挙で、極右政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進し、両州で第2党になる見込みである。AfDの躍進は、事前に予想されていたものの、連邦政府で連立を組む、メルケル首相の保守系のキリスト教民主同盟(CDU)と中道左派の社会民主党(SPD)の両党にとって、新たな打撃となった。
『AFP通信』や
『ロイター通信』などの報道によると、公共テレビの出口調査では、選挙が実施された旧東独のザクセン州と首都ベルリンを囲むブランデンブルク州で、ともにAfDが第2党に躍進し、CDUとSPDはいずれも後退する見通しとなっている。
AfDは当初、欧州懐疑派の政党として結成されたが、現在では主に、2015年以降の移民の大量流入や、旧東独地域での炭鉱の閉鎖などに対する国民の恐怖や怒りを取り込むことに力点を置いた政策を主張している。...
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『AFP通信』や
『ロイター通信』などの報道によると、公共テレビの出口調査では、選挙が実施された旧東独のザクセン州と首都ベルリンを囲むブランデンブルク州で、ともにAfDが第2党に躍進し、CDUとSPDはいずれも後退する見通しとなっている。
AfDは当初、欧州懐疑派の政党として結成されたが、現在では主に、2015年以降の移民の大量流入や、旧東独地域での炭鉱の閉鎖などに対する国民の恐怖や怒りを取り込むことに力点を置いた政策を主張している。今回の選挙では、メルケル首相の移民政策や、ベルリンの壁崩壊後約30年を経過しても残存する旧西独地域との経済格差に対し有権者が示した不満が、AfDへの支持に繋がった。
ドイツ公共放送連盟(ARD)や第2ドイツテレビ(ZDF)などの公共放送によると、難民の受け入れに反対する過激な反イスラム運動「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者(PEGIDA)」の発祥の地、ザクセン州でのAfDの今回の得票率は暫定で27.5%と、2014年の選挙時の9.7%から急伸した。同州で勝利したのはCDUで、得票率は32~33%と前回から7ポイント程度低下する見込みである。
AfDはブランデンブルク州でも、早い段階での予測で22.5~24.5%の得票率を確保し、2014年からほぼ倍増すると予測されていた。同州ではSPDが第1党となり、得票率は27.5%程度となる見通しだ。
AfDのアレクサンダー・ガウラント共同代表は、「我々はザクセン州だけでなく、メルケル氏の保守派を押し出したブランデンブルク州でも満足している。」と述べた。一方で「我々はまだ最強の勢力ではない。」と第1党には届かなかったことを認めた。
メルケル首相は、既に現在の任期を全うした後に首相を退任すると明らかにしているが、地方選挙で大敗すれば、その時期が早まる可能性もある。今回の選挙では、AfDの躍進は連立与党両党にとって打撃となったものの、2州でそれぞれが第1党にとどまり、失った議席数も事前の予想ほどではなかったため、連立政権崩壊の懸念はやや薄らいだ。
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