今年3月にフランスの公立病院の緊急外来で始まった看護師や介護士によるストライキ運動。この運動が夏に入り全国的な拡がりを見せている。8月中旬現在フランス全土で約200の緊急外来科がストライキに参加して労働環境や労働条件の改善を求めている。
『Le Figaro.fr』によると、6月には労働条件や環境改善のためにフランス政府が7000万ユーロ(約82憶5800万円)の緊急予算を決定した。それにもかかわらず、2か月前には80の病院で行われていたストライキ運動が、現在は200の病院に拡がっている。
『20minutes』によると、これは緊急外来のある公立病院の二分の一、私立病院を含めてもフランス国内の三分の一の病院で緊急外来の職員がストライキ運動に参加していることになるという。
フランス政府は6月に緊急外来で働く医者以外の職員に月118ユーロ(約13922円)の特別手当を、医療行為を委任された看護師や介護士には100ユーロ(約11798円)の協力手当の支給を認定した。これらの手当てに加え、人手不足で緊迫した状況の中にある緊急外来には、夏季期間中スタッフを強化し、空床確保の改善を促すために1500万ユーロ(約17憶6900万円)を投資することが決定された。
しかし、『フランス アンフォ』によると、ストライキ参加者らは、1500万ユーロは雀の涙でしかないと受け止めており、手当てについても限定された人にしか支払われないことに不満の声が上がっているという。スト参加者らはベッド数の増加、人員増加と給与増を続けて求めている。
『ルフィガロ』によると、ここ20年で、緊急外来の利用者が爆発的に増えたという。 2017年には、1996年の2倍の2140万人の人が訪れた。逆に、病院のベッド数は20%減少して約40万台に落ちた。
3月にパリ市内では緊急外来で、職員への暴行事件に抗議して始まったストライキ運動。
外来に来た患者たちの待ち時間は平均5時間半となっており、受け入れ可能な人数よりもはるかに多くの来る患者の対応に、病院側は常時追われている状態にある。
夜間勤務の看護師は『フランス アンフォ』に対して「私たちは肉体的にも心理的にも疲れ果てており、さまざまな病状、睡眠障害、ストレス、腰痛に直面しています。」と述べている。
昔フランスでは緊急の際、かかりつけ医が夜間でも診察してくれた。しかし新しい世代の医者は夜間や休日診療を避けたがり、病院の緊急外来がそうした患者の受け皿となっている状態だとジャーナリストのジャン・マリー・ゴダールさんは『ロシアトゥデイ』に説明している。
閉じる