英ロンドン大学ゴールドスミス校はこのほど、学校の新年度が始まる9月から、構内で牛肉を使った食べ物の提供を禁止することを発表した。牛肉は生産の過程で温室効果ガスを大量に排出することを理由としているが、英畜産業界はこれに強く反発している。
英
『BBC』や
『ガーディアン』、
『ザ・テレグラフ』、米
『CNN』などが14日までに報じた。ゴールドスミス校では、2025年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を達成することを目指しており、フランセス・コーナー新学長が、その取り組みの一環として本方針を発表した。
新年度となる9月から実施され、構内の全ての食堂、カフェ、食料販売店などが対象となる。同校の取り組みには、ペットボトル入りの水や使い捨てのプラスチック製のカップについて、その利用を抑えるために10ペンス(約13円)の追加料金を徴収することも含まれており、集められた金額は、学生のための基金に使われる。...
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英
『BBC』や
『ガーディアン』、
『ザ・テレグラフ』、米
『CNN』などが14日までに報じた。ゴールドスミス校では、2025年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を達成することを目指しており、フランセス・コーナー新学長が、その取り組みの一環として本方針を発表した。
新年度となる9月から実施され、構内の全ての食堂、カフェ、食料販売店などが対象となる。同校の取り組みには、ペットボトル入りの水や使い捨てのプラスチック製のカップについて、その利用を抑えるために10ペンス(約13円)の追加料金を徴収することも含まれており、集められた金額は、学生のための基金に使われる。また、太陽光パネルの設置などクリーンエネルギーへの移行や、気候変動を学ぶ学科の増設も検討されている。
世界全体の温室効果ガス排出量の14.5%は、畜産業によるものだ。牛肉生産は環境への負荷が大きく、牛肉関連の排出量はその内の41%を占める。英政府によれば、英国の農場の排出量の半分以上は、牛肉、羊肉、乳製品に由来し、2016年の英国の農業関連の排出量の約58%は、牛や羊を直接の原因とするものだった。
コーナー学長は声明で、「我々は地球的規模での世界の歴史で決定的な瞬間に直面していると真に感じており、ゴールドスミス校は今、他の機関と協力し合い、炭素利用削減のために警鐘を鳴らし、緊急の行動を取る用意がある。」と強調した。
同校内の食堂などでは、今後牛肉を使ったバーガーやラザニア、タコスといったメニューが消えることになる。英国ではケンブリッジ大学など肉類を全く提供しない、或いは提供しない日を設けている学校も既にあり、英畜産業界はこうした動きに強く反発している。
英全国農業者組合(NFU)のスチュワート・ロバーツ副会長は、英国産牛肉と他の牛肉の違いについて「理解や認識の欠如」があり、「気候変動対策は最大の課題の1つだが、1つの食品だけを取り上げるのは、明らかに単純化し過ぎた対応だ。」と批判した。ロバーツ氏は、英国の牛肉生産は世界で最も効率的であり、温室効果ガス排出量は世界平均の2.5分の1と環境にも配慮しているので、英国産の牛肉を買うべきであると主張した。
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