英大衆紙
『サン』や
『デイリー・スター』などのメディアが、サンデー・タイムズの報道内容を伝えている。サンデー・タイムズによると、EU離脱を決めた2016年の国民投票の結果を受けて、当時のデービッド・キャメロン首相が辞任した直後の非公式行事で、女王は英国政界とその統治能力の欠如を厳しく批判したという。
王室関係者は、「女王は本当に落胆していると思う。女王が現在の政界とその的確な統治能力がないことへの失望感について語るのを聞いたことがある。...
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英大衆紙
『サン』や
『デイリー・スター』などのメディアが、サンデー・タイムズの報道内容を伝えている。サンデー・タイムズによると、EU離脱を決めた2016年の国民投票の結果を受けて、当時のデービッド・キャメロン首相が辞任した直後の非公式行事で、女王は英国政界とその統治能力の欠如を厳しく批判したという。
王室関係者は、「女王は本当に落胆していると思う。女王が現在の政界とその的確な統治能力がないことへの失望感について語るのを聞いたことがある。」と語った。ある王室幹部は、「女王はわが国の政治的なリーダーシップの質に対する怒りや不満を表したが、そうした不満は増大する一方だ。」と、女王がその後苛立ちを強めていることを強調した。
英君主の権限は主に儀礼的なものであり、公の場で政治的な見解を示すことはない。93歳のエリザベス女王も、67年にわたる在位中、政治的な見解を明らかにすることは殆どなかった。そして、今のところ英王室は、EU離脱をめぐる政治的な混迷に対し、中立の立場を取っている。しかしながら、今回報じられたコメントは非公式なものだが、大きく踏み込んだものであり、これまでで最も厳しい政治的発言の1つであるという。
7月24日に就任したばかりのボリス・ジョンソン首相は、EUとの合意の成立の有無にかかわらず、離脱期限の10月31日にはEUから離脱すると約束している。これにより、スコットランドでの英国からの独立の是非を問う2回目の住民投票の実施や、国境管理をめぐる北アイルランドでの混乱などが予想され、英国の分断を招く恐れがある。
野党労働党は、合意なき離脱を阻止するため、内閣不信任案を提出する意向を表明した。ジョンソン首相は、不信任案が成立した場合でも、国民投票の結果を尊重する必要があるとして、確実に離脱するよう、辞任を10月31日以降に先送りするとも報じられている。
労働党のジョン・マクドネル議員は先週、女王を巻き込みたくないが、不信任案可決後もジョンソン氏が辞任しない場合、ジェレミー・コルビン労働党首がバッキンガム宮殿を訪れ、首相任命権を持つ女王に自らが政権を担うと伝えるべきだと述べた。英当局者らは、憲法上の地位を危うくしかねない政治的決定から女王を切り離すよう躍起になっている。
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