米疾病対策センター(CDC)は17日、2018年の米国での薬物の過剰摂取による死亡者数が、前年比5.1%減少する見通しであると発表した。減少は1999年以来約20年ぶりで、オピオイドなど鎮痛剤関連の死亡者数が大きく減少したことが原因であるとしている。
『AFP通信』や
『AP通信』、英
『BBC』などの報道によれば、CDCのデータはまだ最終確定していない暫定版であるが、処方鎮痛剤の過剰摂取に関連した推定死亡者数が激減したことによって、全体の人数も20年ぶりに減ることになるとみられている。
CDCの暫定データによれば、2018年の薬物過剰摂取による推定死亡者数は合計6万8,557人で、前年の7万2,224人から約5.1%減少した。しかしながら、1999年の死亡者数1万6,849人と比べるとまだ遥かに多い。...
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『AFP通信』や
『AP通信』、英
『BBC』などの報道によれば、CDCのデータはまだ最終確定していない暫定版であるが、処方鎮痛剤の過剰摂取に関連した推定死亡者数が激減したことによって、全体の人数も20年ぶりに減ることになるとみられている。
CDCの暫定データによれば、2018年の薬物過剰摂取による推定死亡者数は合計6万8,557人で、前年の7万2,224人から約5.1%減少した。しかしながら、1999年の死亡者数1万6,849人と比べるとまだ遥かに多い。薬物過剰摂取による死亡者数は、1999年から2017年まで毎年増加し、特に14年から17年の間に急増していた。
鎮痛剤として処方されるモルヒネやコデインなどの天然・半合成オピオイドに起因する死亡者数は1万2,757人で、前年の1万4,929人から14.5%減少しており、全ての種類の薬物で最も減少した。但し、メサドンを除く合成オピオイド(トラマドールやフェンタニルなど)による死亡者数はなお増加し、コカインによる死亡者数もやや増加した。フェンタニルはモルヒネの最高100倍も強い薬で、米国の違法な薬品市場に溢れているという。
米保健福祉省のアレックス・アザー長官は、「薬物の過剰摂取による死亡者数に関する直近の暫定データにより、オピオイド使用による疾患や依存症を抑制するための米国内の一致団結した取り組みが功を奏していることが示された。」と声明で述べた。一方で長官は、この過剰摂取の蔓延状態は、一夜にして解決できるものではないと警告している。
米国のオピオイド禍は、数十年にわたり依存性のある鎮痛剤を過剰に処方してきたことに根差しており、これまでに約40万人が死亡したとされる。最近、これに対し連邦や州の当局が、製薬会社が医師に賄賂を渡して薬を処方させたり、依存症になるリスクを正しく伝えずに宣伝活動を行ったりしているとして、提訴するなどの措置を取り始めた。
こうした対応によって、2012年には、米国人100人毎に81のオピオイドの処方箋が出されていたが、2017年にはその数が58に減少しており、医療提供者らが慎重な姿勢を示していることが数字に表れている。しかし、CDCによると、1人あたりのオピオイドの処方量は、1999年対比でなお約3倍と依然として多いままであるという。
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