S-400の装備の第一便はトルコの首都アンカラの北西にある空軍基地に12日に到着した。米国政府はここ数か月、S-400の導入を阻止しようと働きかけていた。
トルコの決定はNATOの団結に大きな影響を与えた。NATOが最も重視する戦略目標はロシアの侵攻から欧州を防衛することだからだ。トルコがロシア製のS-400防空システムを購入し配備することを選択した以上は、NATOの防空システムにトルコが全面的に参画することを認めるわけにはいかない。...
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S-400の装備の第一便はトルコの首都アンカラの北西にある空軍基地に12日に到着した。米国政府はここ数か月、S-400の導入を阻止しようと働きかけていた。
トルコの決定はNATOの団結に大きな影響を与えた。NATOが最も重視する戦略目標はロシアの侵攻から欧州を防衛することだからだ。トルコがロシア製のS-400防空システムを購入し配備することを選択した以上は、NATOの防空システムにトルコが全面的に参画することを認めるわけにはいかない。防空システムはNATOの戦略の要である。
ホワイトハウスは10日の声明で「F35がロシアの情報収集プラットホームと共存することはあり得ない。ロシアの情報収集網がF35の能力の収集に使われるからだ」と表明した。
しかし国防総省の当局者は、トルコは過去60年以上にわたって重要な同盟国だったとし、今回のトルコとの亀裂を重要視しない姿勢を示した。この当局者は会見で、米国はトルコをF35の導入計画から排除する手続きを開始したと表明する一方で、「米国はトルコとの戦略的協力関係を引き続き高く評価している」と述べた。また今回の決定の影響として、「トルコはF35の900以上の部品を製造しており、この供給網はトルコから主に米国内に移されるだろう」とし、「トルコは今回の自らの決定により、確実に、そして残念ながら、雇用と将来得られるはずだった経済的な機会を失うことになる」と語った。トルコのF35のサプライヤーとしての取引規模としては、約90億ドル(約9720億円)と指摘した。さらに米国側への影響として、F35の供給網を変更することにより、米国側に5億ドルから6億ドル(540億円から648億円)の追加費用が発生する恐れがあると述べた。
別の国防総省の当局者は報道関係者に対し、米国とトルコの軍事的協力関係は「引き続きとても強力だ」と述べ、米国とトルコの軍の連携は継続されるとした。しかし、NATOの主な仮想敵国により作られた軍事システムを使用しながら、どのようにNATOの防空システムに全面的に参画し続けることができるのかについては説明を避けた。
米国政府は公式には認めていないが、米国はトルコのインジルリク空軍基地に核兵器を保有しているとされる。トルコの今回のS-400導入計画を受け、一部の専門家は同基地で核兵器を保有し続けることに疑問を示している。
トルコ外務省は米国の決定に対し、不公平であり、米・トルコの二国間関係に影響を与えかねないと指摘した。トルコ側は、トルコとロシアとの間の今回の契約は国家の主権の問題であり、取り消されることはあり得ないとし、米国の圧力に屈服することを拒否している。さらに今週初め、トルコのエルドアン大統領は、最新鋭の兵器システムをロシアと共同生産することを希望していると語り、今後も米国と他のNATO加盟国とに逆らう姿勢を示した。
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