国連食糧農業機関(FAO)は15日、2018年に世界の人口の9人に1人に相当する8億2100万人超が飢餓で栄養不良の状態にあるとの調査報告書を発表した。北朝鮮では、食糧事情の悪化を反映し、人口の半数近くが栄養不良だった。
『AFP通信』などの報道によると、国連の食糧農業機関(FAO)は、世界保健機関(WHO)など他の国連機関とともに、「世界の食料安全保障と栄養の現状」と題する報告書をまとめ、15日に公表した。この中でFAOは、2018年に飢餓状態にあった人は8億2100万人を超え、3年連続で増加したと明らかにした。また、飢餓状態の人と、そこまでには至らないが食料不足となった人の数を加えると、世界で20億人を超えるという。
食料不安を抱える地域は数十年にわたり減少しており、アジア各国の急速な経済成長などを背景に、状況は最近まで改善を示していたが、2015年に再び悪化に転じた。飢餓の撲滅は、2030年までに達成を目指す国連の持続可能な開発目標の1つとされており、報告書は、同目標の達成は、引き続き「極めて重要な課題」であると位置付けている。
報告書は、世界で最貧層の人々を巻き込むための「構造的変化」が必要だとした。それは、性別による不平等や特定の集団の排除などの他の課題に対処しつつ、「食料安全保障と栄養への懸念を、貧困削減への取り組みと統合する」よう求めることだとしている。
栄養不良である人の割合を地域別に見ると、アフリカが依然として最も高く、人口の約20%に上った。アジアでも12%を超えており、中南米やカリブ海諸国では7%の人が栄養不良の状態にある。全ての地域で、女性の方が男性より栄養不良の人がやや多かった。
韓国の『聯合ニュース』は16日、FAOの報告書を受けて、北朝鮮では全人口の半数近くが栄養不良として、食糧事情が悪化していると伝えた。北朝鮮の栄養不良人口の割合は、2004~06年には35.4%だったが、2016~18年には47.8%に増加したという。同国より高かったのは、中央アフリカ、ジンバブエ、ハイチの3カ国だけだった。
FAOは、2030年までに栄養不良で発育が妨げられている子どもを半減するとの目標の達成には、現在の取り組みでは不十分であるとした。現在、約1億4900万人の子どもが、栄養不良で発育に遅れがみられる。一方、報告書は同時に、肥満や過体重が全ての地域で増加しており、学校に行く年代の子どもと大人で特にその傾向が顕著であると指摘した。
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