フランスのエマニュエル・マクロン大統領は13日、革命記念日前日の行事で、宇宙空間における防衛力強化のため、今年9月に宇宙軍司令部を新たに創設すると発表した。将来的には空軍と統合されるという。
『AFP通信』『ロイター通信』のほか、英
『BBC』、米紙
『USAトゥデイ』などが報じた。14日はフランス革命記念日であり、首都パリのシャンゼリゼ通りで軍事パレードなどの式典が催された。マクロン大統領の発表は、その前夜の恒例の行事の中で明らかにされ、トランプ米大統領が提唱する米国の宇宙軍創設計画に呼応するような形で行われた。
マクロン大統領は国防省で演説し、行事に集まった軍幹部らに対し、「宇宙における我々の能力の開発と強化を確かなものとするため、9月に宇宙担当の司令部を空軍内に創設する。」と述べた。将来は空軍と統合され、空・宇宙軍となる。大統領は、フランスが軍事上、改めて宇宙に注目するのは、「真に国家安全保障上の問題」であるからとしており、昨年から宇宙防衛戦略の必要性を説いてきたが、今回の発表がその結果だと説明した。
マクロン氏は続けて、「国防省が新たな宇宙と軍に関する方針を提案し、私が承認したが、これはわが国の宇宙防衛力を保証するものだ。我々は宇宙の状況に関する知識を強化し、積極的な方法も含め、わが国の衛星の防御能力を向上させていく。」として、場合によっては、衛星を守るため、攻撃的な姿勢を取ることもあり得るとの考えを示した。
米国防総省は、宇宙も陸海空と同様に「戦争が行われる領域」としたトランプ大統領の指示を受けて、2020年までに6番目の軍隊として「宇宙軍」を創設するための予算案などを策定したが、本プロジェクトはなお米議会の承認を得る必要がある。
宇宙での軍事上の即応態勢強化をめぐっては、米国のほか中国やロシアなどが予算を増額し、関心を深めている。地球周回軌道上では、普通の通信に加え、スパイ衛星、位置追跡、妨害電波によるジャミング、サイバー攻撃などの軍事的活動が増加しているという。
マクロン氏の発表で、フランスも米国などの動きに続くこととなった。財源などの詳細については、フロランス・パルリ国防相が後日明らかにするとしたが、フランスは2019~25年の軍事予算のうち、36億ユーロ(約4380億円)を宇宙防衛に充てている。パルリ国防相は先月のパリ航空ショーで、次世代軍事衛星の調査研究を行うことを発表していた。
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