ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は10日、同社を象徴する小型車「ビートル」の生産を終了した。同車を生産していたメキシコ中部のプエブラの工場ではセレモニーが行われ、約80年にわたり多くのファンを生んだ同車に従業員らが別れを告げた。
『ロイター通信』や
『AFP通信』がセレモニーの模様などを報じた。マリアッチバンドの演奏の中、通常の生産ラインで製造されるビートルの最後の一台が、レトロな丸みを帯びたスタイルを見せて登場すると、熱狂的な歓声に迎えられた。
VWプエブラ工場の多くの従業員は、いつものように7時間の労働の後、「ありがとう、ビートル」「バイバイ、ビートル」などと書かれた明るい黄色のTシャツを着て出迎え、昔を懐かしむ雰囲気が漂う中で同車に別れを告げた。...
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『ロイター通信』や
『AFP通信』がセレモニーの模様などを報じた。マリアッチバンドの演奏の中、通常の生産ラインで製造されるビートルの最後の一台が、レトロな丸みを帯びたスタイルを見せて登場すると、熱狂的な歓声に迎えられた。
VWプエブラ工場の多くの従業員は、いつものように7時間の労働の後、「ありがとう、ビートル」「バイバイ、ビートル」などと書かれた明るい黄色のTシャツを着て出迎え、昔を懐かしむ雰囲気が漂う中で同車に別れを告げた。
VWメキシコのステファン・アイヒェ最高経営責任者(CEO)は、プエブラ工場は既にスポーツ用多目的車(SUV)「ティグアン」を生産しているが、2020年の終わりには、ビートルに代わり、SUV「タレク」の生産を開始すると説明している。同CEOも3代目となったビートルとの別れを惜しみ、「今日が最後の日だ。非常に感動的だ。」と語った。
セレモニーでは、最後の限定モデル65台の特別販売についても発表された。限定モデル「ビートル・ファイナル・エディション」は、メキシコでインターネット販売され、本体価格は2万1000ドル(約228万円)からで、1,000ドルの事前の支払いで予約可能。各車両の左側には記念プレートが付され、1から65までの連番が振られる。通常のメタリック・ブルーに加え、黒、白、ベージュも選択できるという。
ビートルはナチス・ドイツ時代の1938年に誕生し、国民車構想によってドイツ人の自動車保有促進に貢献した。「カブト虫」を意味する名前や独特のデザインとともに低価格で、発売開始後数十年にわたり大衆車として人気を博し、世界で最も売れた車の1つとなった。日本でも人気があり、米国でも1960年代には最も販売台数の多い輸入車だった。
ビートルは、カブト虫型のVW車が活躍する1968年のディズニー映画「ラブ・バッグ」で人気が高まり、その後、アンディー・ウォーホル作品や、ビートルズのアルバム「アビイ・ロード」のジャケットなどにも登場し、常に大きな話題を巻き起こしてきた。しかし、近年は消費者の人気がSUVなどに移って販売が低迷し、電気自動車や自動運転車などに投資の軸足を移しているVWは昨年9月、同車の生産終了の方針を発表していた。
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