日本など国連人権理事会の22カ国は、中国の新疆ウイグル自治区でウイグル族が大量に拘束され、基本的人権や自由が脅かされているとして、スイスのジュネーブで開催されている人権理事会宛てに8日付の共同書簡を送り、懸念を表明した。
『ロイター通信』や英
『BBC』などのメディアが報じ、書簡の内容が10日に明らかになった。国連の専門家や人権保護団体によると、中国は新疆ウイグル自治区で、少なくとも100万人のウイグル族などのイスラム教徒を収容所に拘束しているとされる。これに対し中国は、ウイグル族らは過激主義への対策のために設けられた「職業訓練所」で教育を受け、新たな技術を習得していると説明し、反論している。
共同書簡には、日本のほか、英国、フランス、スイス、カナダ、オーストラリアなど、22の理事国の大使らが署名した。...
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『ロイター通信』や英
『BBC』などのメディアが報じ、書簡の内容が10日に明らかになった。国連の専門家や人権保護団体によると、中国は新疆ウイグル自治区で、少なくとも100万人のウイグル族などのイスラム教徒を収容所に拘束しているとされる。これに対し中国は、ウイグル族らは過激主義への対策のために設けられた「職業訓練所」で教育を受け、新たな技術を習得していると説明し、反論している。
共同書簡には、日本のほか、英国、フランス、スイス、カナダ、オーストラリアなど、22の理事国の大使らが署名した。この問題に関し、同理事会で各国が初めて共同歩調を取ることとなったが、1年前に同理事会から離脱した米国は含まれていない。
書簡は、新疆で特にウイグル族ほかの少数派を対象とした、大規模な収容所での不法な拘束や広範囲にわたる監視と抑圧が行われているとの報告に懸念を表明し、最高水準の人権を維持することが人権理事会の理事国としての中国の義務であると強調した。
また、新疆と中国全土で宗教や信仰の自由などの人権や基本的自由を尊重するよう求め、新疆のウイグル族ほかのイスラム教徒や少数派に対する恣意的な拘留や移動の自由への制限などを控えるよう要請した。その上で中国政府に対し、バチェレ国連人権高等弁務官を含む独立の国際監視団に「新疆への実質的な立ち入りを許すよう」促した。
共同書簡は、理事会で発表される正式な声明や、国連で採択される決議などと比べて外交的な重要度は落ちる。外交官らは、書簡の出状にとどめたことについて、中国の政治的・経済的報復の懸念があったからだとしている。但し、外交官の間では、理事会の公式文書となるため、正式な手続きとして、中国に警告を送るものと評価する声もある。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブ代表ジョン・フィッシャー氏は、共同書簡による声明は、「新疆でのイスラム教徒の恐ろしい処遇」を停止するよう中国政府に圧力をかけるものとの認識を示した。同氏は、「共同の声明は、新疆の人々にとってだけでなく、強国であっても責任を問うべく、国連の主要な人権組織を頼りにしている世界中の人々にとっても重要だ。」と歓迎している。
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