中国主導の「一帯一路」経済圏構想は、2014年11月10日に北京市で開催されたアジア太平洋経済協力首脳会議(APEC)で習近平主席が正式に提唱してから、もうすぐ5年になる。米国は警戒を強め、日本は半身の姿勢である。さらに、2016年3月、国連の安保理で第2274(2016)号決議及び、同年11月、国連総会でA/71/9号決議をそれぞれ採択し、初めて「ベルト&ロードイニシアティブ」として国際文書に書き入れ、各国に「一帯一路」の建設のための安全保障の環境を提供するよう呼びかけた。態度を曖昧にしたまま、賛成も反対もしてこなかった日本だが、2017年6月、安倍首相は「国際社会共通の考え方を十分に取り入れる観点から協力したい」と述べるにとどまって、慎重さを貫いている。
さて、実はこの巨大な経済圏構想を支えている「六廊」のことを知っている人は案外少ないのではないだろうか。
「六廊」とは、6大「経済回廊」とも言い、中国と「一帯一路」の沿線国家とともに共同で建設する経済ベルトのことだ。これこそ、「一帯一路」経済圏構想を具体的に描いた青写真である。日本語と英語の両方で表記すると、こうなる。
1.中国、モンゴル、ロシア経済回廊(China-Mongolia-Russia Economic Corridor)
2.新ユーラシア大陸橋経済回廊(New Eurasian Land Bridge Economic Corridor)
3.中国-中央アジア-西アジア経済回廊(China-Central Asia-West Asia economic corridor)
4.中国-インドシナ半島経済回廊(China-Indochina Peninsula Economic Corridor)
5.中国、パキスタン経済回廊(China Pakistan Economic Corridor (CPEC)
6.バングラデシュ、中国、インド、ビルマ経済回廊(Bangladesh-China-India-Myanmar Economic Corridor)
文字で見ても「六廊」のスケールが分からないかもしれないが、Google検索し、地図で見ると度肝を抜かすような規模だ。...
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「六廊」とは、6大「経済回廊」とも言い、中国と「一帯一路」の沿線国家とともに共同で建設する経済ベルトのことだ。これこそ、「一帯一路」経済圏構想を具体的に描いた青写真である。日本語と英語の両方で表記すると、こうなる。
1.中国、モンゴル、ロシア経済回廊(China-Mongolia-Russia Economic Corridor)
2.新ユーラシア大陸橋経済回廊(New Eurasian Land Bridge Economic Corridor)
3.中国-中央アジア-西アジア経済回廊(China-Central Asia-West Asia economic corridor)
4.中国-インドシナ半島経済回廊(China-Indochina Peninsula Economic Corridor)
5.中国、パキスタン経済回廊(China Pakistan Economic Corridor (CPEC)
6.バングラデシュ、中国、インド、ビルマ経済回廊(Bangladesh-China-India-Myanmar Economic Corridor)
文字で見ても「六廊」のスケールが分からないかもしれないが、Google検索し、地図で見ると度肝を抜かすような規模だ。地下鉄路線図を見るようなネットワーク状になっていて、実現すると、世界がもっと緊密に結ばれるというリアリティ感が湧いてくる。特筆すべきは、これらの経済回廊の形成過程で無数の建設プロジェクトが計画されること、いわば、各国経済界の有志連合による共同参加型が求められている。もちろん、法律のことや、リスクを心配する日本の企業も多いが、有志連合という枠組みで動くなら、揉めることも少ない筈だ。ちなみに、EU裁判所のように、「一帯一路」裁判所ができる運びにもなっているようだ。
余談だが、「一帯一路」の関連キーワードのアクセスランキングがこの間、発表され、一位は、「経済発展」、「共同体」を抑え、「互連互通」という言葉だったそうだ。文字通り、「相互連結、相互交流」という意で、正にネットワークに代表される基本概念そのもの。「六廊」はランク外となったが、地球規模の凄い構想であることには変わりないだろう。
また、先月、トルコのエルドアン大統領が中国を訪問した際、習近平主席に対し、自国で「中間回廊(Middle Corridor)」の建設を提案したと伝えられている。我々日本人が、知らないうちに中国の戦略はどんどん進んでいるが、影響を受ける周辺国にも中国のそうした戦略に気が付き始め、警戒の動きも出始めている。
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