香港当局は、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の制定を押し進めてきた。香港の行政トップである林鄭月娥行政長官は、激しい抗議活動の中、法改正の中止を拒否していた。
「当局側の各種対応が行き届かず、大きな議論を引き起こしてしまったことを申し訳なく、また、残念に思っている。」と長官は語った。
法改正に反対する人々は中国の影響が強まることに懸念を強めていた。...
全部読む
香港当局は、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の制定を押し進めてきた。香港の行政トップである林鄭月娥行政長官は、激しい抗議活動の中、法改正の中止を拒否していた。
「当局側の各種対応が行き届かず、大きな議論を引き起こしてしまったことを申し訳なく、また、残念に思っている。」と長官は語った。
法改正に反対する人々は中国の影響が強まることに懸念を強めていた。
同長官は、「“一度立ち止まって考える”べきだという要求を当局は受け容れた」と語り、法改正についての“説明とコミュニケーション“が適切ではなかったことも認めた。そして、「まずは安定した状況と秩序を回復することも含め、”香港にもっとも利益になること”が自分の目標である」と語った。
当局は今回の法改正が“抜け穴をふさぎ”、それにより香港が犯罪者の避難場所になることを防止できる、と主張していた。同長官は、「今年度中に法案を通過させなければならないという緊急性は“おそらくもうない”」と語り、「次にどのようなステップに進むか、日程は決まっていない」とも語った。
『BBC』は記事の中で、香港記者の分析と市民の声を次のように伝えている。
これは、これまでの強い姿勢から考えると、驚くべき方針転換だ。たった数日前は、香港の行政トップである林鄭月娥行政長官はこの不人気な法改正を押し進めると明言していた。しかし今回“異なる意見に耳を傾ける”と約束した。
ただ、法改正に抗議する多くの人にとっては、今回の問題の悪影響は既に顕在化してしまったと言え、悪影響が解消されるものではない。今回の政府の発表は、あくまで法改正の動きを遅らせるという内容であって、中止するという発表ではないだけに、人々の懸念は解消されないだろう。
今回の法改正に反対している市民の一人は「政府は反対活動が治まるまで注意をそらそうとしているのだと思う」と記者に語った。他の市民は「日曜日に予定されている抗議活動に参加する」と語った。抗議に加わってきた学生たちのリーダーの一人は「我々の目標はあくまでも法改正の撤回だ。法改正の中断ではない。日曜日はやはり多くの人が抗議活動に参加すると思う。」と述べた。
閉じる