香港行政長官は、100万人規模の雨傘デモに屈したが、中国政府はあくまでも、“逃亡犯条例改正案”成立を強く主張している。そうした中、中国政府の主張に追い風になるかのように、欧米が人権蹂躙と非難していたウィグル族取り締りに対して、国連の第1副事務総長から、人権蹂躙はないとのお墨付きを取得したと発表した。
6月16日付米
『AP通信』:「国連テロ対策部代表、反対の声が上がる中、新疆ウィグル自治区を訪問」
中国外交部(省に相当)は6月16日、新疆ウィグル自治区を訪問した国連テロ対策部のウラジーミル・イワノビッチ・ボロンコフ第1副事務総長(2017年6月就任の元ロシア外交官)が、李宇澄(リー・ユーチェン)外交部副部長(副大臣相当)と意見交換し、中国側が推し進めるテロ対策方針に“幅広い合意”が得られたと発表した。...
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6月16日付米
『AP通信』:「国連テロ対策部代表、反対の声が上がる中、新疆ウィグル自治区を訪問」
中国外交部(省に相当)は6月16日、新疆ウィグル自治区を訪問した国連テロ対策部のウラジーミル・イワノビッチ・ボロンコフ第1副事務総長(2017年6月就任の元ロシア外交官)が、李宇澄(リー・ユーチェン)外交部副部長(副大臣相当)と意見交換し、中国側が推し進めるテロ対策方針に“幅広い合意”が得られたと発表した。
米国や国際人権擁護団体は、少なくとも100万人のウィグル族やカザフ族の少数民族が、新疆ウィグル自治区において不当に拘束されていると非難している。
かつて拘束されていたウィグル族の証人が『AP通信』に語ったことには、ウィグル族の多くが理由もなく拘束され、“再教育センター”に押し込められて、無理やり中国中央政府への忠誠を誓わせられたという。
これに対して中国政府は、同センターでの暴行等の行為を全面否定した上で、過激派を撲滅し、かつ、ウィグル族の就業能力を高めるための政策であると反論している。
そこで、ボロンコフ第1副事務総長が6月13~15日、新疆ウィグル自治区を視察した訳である。
しかし、米国務省のジョン・サリバン副長官は6月14日、アントニオ・グテーレス事務総長と面談し、ボロンコフ氏の新疆ウィグル自治区訪問を“深刻に憂慮”していると伝えた。
更に同副長官は、中国政府が人権問題を糊塗するよう努めていて、ボロンコフ氏はその行為に加担させられることとなり、国連の信頼性を毀損してしまうと強調していた。
同日付英国『ロイター通信』:「中国、国連代表の新疆ウィグル自治区訪問後に“幅広い理解”が得られたと発表」
国連の専門家らが、新疆ウィグル自治区ではウィグル族やその他イスラム教徒100万人余りが不当に拘束されていると非難している。
そこで、米国や英国を含めた西側諸国は、国連代表の同地区訪問に反対の声を上げていた。
しかし、かかる反対を押し切って、ボロンコフ第1副事務総長兼テロ対策部代表は新疆ウィグル自治区を訪問した。
そして、その結果を踏まえて、中国外交部が、国連代表とテロ対策について意見交換を行い、中国政府の採っているテロ対策に“幅広い理解”が得られたと公表した。
なお、グテーレス事務総長は今年4月の中国訪問時、王毅(ワン・イー)外交部長(外相に相当)に対して、新疆ウィグル自治区のイスラム教徒の窮状について懸念を表明していた。
一方、中央アジア諸国を歴訪中の習近平(シー・チンピン)国家主席は、テロ対策の重要性について強く訴えて回っている。
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