中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案への抗議活動は続いており、デモの規模は数千人規模に達している。警察は催涙ガスとゴム弾で応じているが、収まる気配は見せていない。
今回の大規模な抗議活動はすでに香港の経済活動に影響を及ぼしている。抗議活動が数日続いた後、香港の金融地域にある一部の行政施設は、今週いっぱい閉鎖された。スタンダードチャータード、中国銀行、DBSなどの主な国際金融機関は、中心地域での支店の営業を一時停止した、としている。...
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中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案への抗議活動は続いており、デモの規模は数千人規模に達している。警察は催涙ガスとゴム弾で応じているが、収まる気配は見せていない。
今回の大規模な抗議活動はすでに香港の経済活動に影響を及ぼしている。抗議活動が数日続いた後、香港の金融地域にある一部の行政施設は、今週いっぱい閉鎖された。スタンダードチャータード、中国銀行、DBSなどの主な国際金融機関は、中心地域での支店の営業を一時停止した、としている。その他の金融機関はこれまで通り営業しているが、そのような金融機関の多くは、社員が自宅で勤務することも認めている。
今回の大規模なデモは、単に今週生じている問題という枠を超え、今後も香港で事業を続けられるのかという将来への懸念を高めている。
香港のある経済団体は、三月の声明の中で、今回の条例改正に対する強い不安を表明した。一見したところ、今回の条例改正は企業にとっては大きな問題ではないように思われるかもしれない。しかし、香港の多くの関係者が、今回の条例改正が香港の法の支配を傷つけ、香港で事業を行う事業者が北京のきまぐれによって取り締まりを受けるようになるのではないかと懸念している。同団体によれば、「グローバル企業はここ一帯の地域の活動の基点として香港に魅力を感じているが、今回の改正は、香港のそのような魅力を薄めてしまうかもしれない。」としている。
通常であれば、現地の経済団体は中国本土と香港の関係について批判する率直な見解を表明することを避ける傾向にあるだけに、今回このような反対意見が明確な形で表明されたことは、一部の関係者に驚きを持って迎えられた。
また専門家の見解も伝えられている。ジョンホプキンス大の教授は、CNBCの番組の中で、今回の改正は香港の金融センターとしての評判を下げるだけではなく、ワシントンとの特別な経済関係をも傷つけかねない、と述べた。
「心配なのは、米国法(米国-香港政策法)により香港が米国との特別な交易関係を享受してきたことへの影響が出てしまうことだ。この法律により経済や外交での多くの問題について、香港は中国本土から切り離されてきた。この法律のおかげで香港企業が米国や他国の市場により簡単にアクセスできたことこそが、中国企業にはない香港企業の利点だった。」と教授は指摘している。
さらに、抗議活動は国際的な関心も集めている。EUは声明の中で、今回の問題について香港市民と懸念を共有しており、事態打開のためにより一層市民の声を聴くように香港政府に要請している。
その声明の中では、「この問題は大変微妙な問題だ。香港経済の景況感への影響はもちろん、香港や香港市民、EUやその他の外国籍の市民、などの将来に大きな影響を与える可能性がある。」とされている。
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