米サンフランシスコの検察当局は12日、7月から訴追手続きに人口知能(AI)の技術を導入すると発表した。人種に基づく偏見による冤罪などを排除することを目指しており、全米初の試みとして注目されている。
『AP通信』『FOXニュース』や地元メディアなどが報じた。サンフランシスコ郡検察のジョージ・ガスコン地方検事は12日、7月1日からAI技術の使用を開始し、被疑者を起訴するか否かを決定する際に、先ずは「人種を判断の諸要素から除外する」と説明した。
新技術の採用により、警察の事件報告書の記載内容を、訴追判断を行うための主要事実に限定して編集・表示する。ガスコン氏の部署は、スタンフォード大学研究所のデータ科学者やエンジニアらの協力を得て、電子化された報告書から、被疑者の人種だけでなく、名前、髪の毛や目の色などを自動的に削除するシステムを開発した。...
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『AP通信』『FOXニュース』や地元メディアなどが報じた。サンフランシスコ郡検察のジョージ・ガスコン地方検事は12日、7月1日からAI技術の使用を開始し、被疑者を起訴するか否かを決定する際に、先ずは「人種を判断の諸要素から除外する」と説明した。
新技術の採用により、警察の事件報告書の記載内容を、訴追判断を行うための主要事実に限定して編集・表示する。ガスコン氏の部署は、スタンフォード大学研究所のデータ科学者やエンジニアらの協力を得て、電子化された報告書から、被疑者の人種だけでなく、名前、髪の毛や目の色などを自動的に削除するシステムを開発した。目撃証人や立ち会った警察官らの名前、近隣の地区名など、関係者の人種を想起させる要素は全て削除される。
同技術は基礎的な事実の収集については人間に依存しており、それはなお人種的偏見に影響されている可能性がある。従って、検察官らは人種的要素を除いた編集済みの報告書に基づき最初の訴追の決定を行うが、その後当初の報告書全体や各種証拠を検証し、決定を再考すべき酌量する事由があるか見極めるなどして、総合的・客観的に最終判断を行う。
サンフランシスコ郡の検察が、2017年に外部に委託して実施した調査によると、「刑事司法の判断に、相当の人種的・民族的格差」が存在することが判明した。同郡の人口にアフリカ系米国人が占める割合はわずか6%であるが、2008~14年の間の逮捕者の41%がアフリカ系米国人だったという。
ガスコン氏は、「刑事司法制度はこの国の有色人種、特にアフリカ系米国人に対し、何世代にもわたり、恐ろしい影響を与えてきた。」として、人種的要素を取り除けば、事態はかなり改善すると指摘した。また、今回の取り組みの目的は、他の地域でも使用できるモデルを開発することであり、全米の検察官にその技術を無料で公開したいと述べた。
刑事司法の専門家らも、このような試みは聞いたことがないとしており、同検察の新たな方針は、訴追の決定に際し人種を判断基準から排除する創造的かつ大胆な取り組みであり、実施の結果を見守りたいと評価している。
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