次の首相が決まると退任となるテリーザ・メイ首相は、EU離脱交渉が焦点となり、やり残していた国内政策を何とか急ピッチで進めようとしている。石炭で世界の発展をけん引したイギリスが、炭素排出ゼロで世界をリードするべく高い目標を掲げている。
6月11日付英国
『ガーディアン』は「2050年までに炭素排出量をゼロにする目標のテリーザ・メイ」との見出しで以下のように報道している。
首相を退任するまでにレガシーを作りたいメイ首相は 2050年までに英国を世界で最初の炭素排出量ゼロの国にするための法整備にコミットしている。気候変動法への改正が通れば、G7先進国でゼロ排出を初めて法制化する国となる。メイ首相は辞任までに何とか国内政策でやり残したことを急ピッチで進めようとしている。...
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6月11日付英国
『ガーディアン』は「2050年までに炭素排出量をゼロにする目標のテリーザ・メイ」との見出しで以下のように報道している。
首相を退任するまでにレガシーを作りたいメイ首相は 2050年までに英国を世界で最初の炭素排出量ゼロの国にするための法整備にコミットしている。気候変動法への改正が通れば、G7先進国でゼロ排出を初めて法制化する国となる。メイ首相は辞任までに何とか国内政策でやり残したことを急ピッチで進めようとしている。
環境保護団体は、このゼロ排出目標を歓迎しているが、途上国に負担を移行すると言われる“炭素クレジット”を活用する計画であることに失望を示しているという。
先週首相は、ハモンド財務相の「目標達成には1兆ポンドがかかる」との試算を否定。首相後任が決まり次第、EU離脱問題で滞っていた政策分野を強化する予定。
2050年の目標は、英国の英独立行政機関「気候変動委員会(CCC)」により提言されたものだが、メイ首相は“法の抜け穴”である炭素クレジット案を否定してきたため議論は膠着状態となった。首相は、「産業革命の誕生地である英国として、気候変動対策をけん引していくのは英国の務めだが、負担を後進国に投げつけるのは、この努力を無駄にするもの。」としている。
このようなオフセットのやり方はコスト効率の面でも歴史的に失敗しているとの指摘もある。
他国フランスでは今年、ゼロ排出法案が提出された。またフィンランド(2035年)やノルウェー(2030年)なども2050年以前の目標を掲げている。
6月12日付英国『BBC』は「気候変動:英国政府が2050年に向けた目標にコミット」との見出しで以下のように報道している。
炭素排出ゼロ排出目標を提唱するメイ首相は、汚染を減らす事は公衆衛生や国民保健費用を減らす事にも役立つとしている。環境団体は歓迎する一方、“対策が遅すぎる、不可能だ”との意見もある。
2008年の気候変動法では、80%の削減目標が掲げられたが、法改定により、更に厳しい目標に引き上げられた。政府の示す目標は総計ゼロ排出である。
家庭、交通機関、農産業は完全に除き、植林や大気からの二酸化炭素除去などの方法をとる方針。
気候変動に関する諮問委員会の報告書では、他国が追従すれば、2100年までに大気を1.5℃以下の上昇に押される確率が50%となるという。この報告書を受け、先月、科学や保健分野の専門家、活動家らが首相の辞任前に”ゼロ排出”目標を打ち出すべきだと提言してきた。メイ首相は、「英国が産業革命期、石炭を通して世界の富拡大をけん引してきた。だから逆方向に牽引するのも英国の適切な対応だ」としている。
肉食や飛行機使用を控えるとなると反対に合うのは必至だ。だが電球をLEDで代用するなど、政府は人々が気づかぬ所で痛みを最小限にクリーン革命を起そうとしている。ガスの代わりに水素ヒーターや電気自動車にすると、クリーンエネルギー発電には、大きな投資が必要だ。税金投入または炭素排出源であるの石炭会社が負担するかは決まっていない。
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