米国などが21日に主催した国連関連の会合で、各国の保健分野の専門家らは、麻疹(はしか)が世界的に再流行するなか、ワクチンの効果に関する偽情報がネット上で拡散し、接種率が下がっていると警鐘を鳴らすとともに、早急に対策を講じるよう訴えた。
『ロイター通信』や
『AFP通信』などが報じた同会合は、スイスのジュネーブで開催された世界保健機関(WHO)の年次総会に並行して行われた。ワクチンへの信頼向上のためのイベントであり、米国、欧州連合(EU)、ブラジルが共同で主催したものである。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は、「予防接種に関し、自己満足していられる国は1つもない。」と述べた。各国の保健分野の専門家らは、ワクチンで死亡したり、自閉症になったりする可能性があるといった偽情報が、ネット上で伝染病のように拡散し、富裕国を中心に予防接種を忌避する動きが広まったと指摘。...
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『ロイター通信』や
『AFP通信』などが報じた同会合は、スイスのジュネーブで開催された世界保健機関(WHO)の年次総会に並行して行われた。ワクチンへの信頼向上のためのイベントであり、米国、欧州連合(EU)、ブラジルが共同で主催したものである。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は、「予防接種に関し、自己満足していられる国は1つもない。」と述べた。各国の保健分野の専門家らは、ワクチンで死亡したり、自閉症になったりする可能性があるといった偽情報が、ネット上で伝染病のように拡散し、富裕国を中心に予防接種を忌避する動きが広まったと指摘。接種率の低さが、米国など今まで感染が殆ど確認されなかった国も含め、かつて根絶状態にあった麻疹が世界で流行する原因になったとして、偽情報をソーシャルメディアの運営会社などが削除するよう要求した。
「ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVIアライアンス)」のセス・バークレー事務局長は、ワクチンの安全性について、多くの科学者の見解は一致していると説明した。しかし、ソーシャルメディアでは、科学的事実よりセンセーショナルな内容が重視され、偽情報は急速に拡散する。バークレー氏は、この情報の拡散は「病気として考えなければならない。光のような速さで広がっている。」などと警告した。
WHOによれば、ワクチンは年間200~300万人の命を救っている。バークレー氏は、ワクチンに関する偽情報は、人の命を奪っており、そこには言論の自由はなく、ソーシャルメディアの運営会社などが削除する必要性を強調した。
アレックス・アザール米厚生長官は、自己満足、誤解、偽情報などによって、ワクチンの接種率が世界的に低下しており、悲劇的な結果を招いていると指摘した。さらにアザール長官は、「わが国では、ソーシャルメディア上の怪しい情報で善意の保護者たちが混乱し、推奨されるワクチン接種を躊躇している。」と国内の事態に危機感を示した。
トランプ米大統領は就任前、ワクチンと自閉症の関係について誤った情報を繰り返しツイッターに投稿したとして批判されているが、アザール氏は、トランプ大統領はワクチン接種を極めて強く支持しており、その安全性を認めていると反論した。
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