2016年の米大統領選へのロシア介入疑惑について捜査していた、ロバート・マラー特別検察官の報告書の概要が先週明らかになった。その中で、トランプ陣営の関係者をロシアとの共謀罪で訴追できなかったものの、ロシアによる具体的な介入工作について詳らかにし、ロシア軍関係者ら25人を起訴している。この報告書に基づき、ドナルド・トランプ大統領は早速、“ゲーム・オーバー”として自身及び同氏陣営は潔白だとアピールした。一方、ロシア政府も、証拠不十分な捜査報告書は悪戯に米ロ関係を危うくするだけだとして、同報告書を一蹴している。
4月19日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「ロシア政府、マラー報告書は不完全で、かつ米ロ関係に害を及ぼすだけと非難」
ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は4月19日、2016年米大統領選へのロシア介入疑惑を捜査したロバート・マラー特別検察官の捜査報告書について、当該疑惑の証明が不完全であるとして、今後ともかかる不当な告発は一切受け入れられないとコメントした。
更に同報道官は、かかる報告書の公開によって、米ロ間関係が毀損されることを憂慮するとも付言した。...
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4月19日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「ロシア政府、マラー報告書は不完全で、かつ米ロ関係に害を及ぼすだけと非難」
ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は4月19日、2016年米大統領選へのロシア介入疑惑を捜査したロバート・マラー特別検察官の捜査報告書について、当該疑惑の証明が不完全であるとして、今後ともかかる不当な告発は一切受け入れられないとコメントした。
更に同報道官は、かかる報告書の公開によって、米ロ間関係が毀損されることを憂慮するとも付言した。
4月18日にリリースされたマラー特別検察官報告書には、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)による介入工作について、ソーシャルメディアを使った世論操作、及びハッキングで得た民主党のクリントン陣営の情報を内部告発サイト“ウィキリークス”などで暴露したと断定している。
この捜査結果を踏まえて、これまでにロシア軍関係者ら25人を起訴している。
一方、ロシア外務省北米局のゲオルグ・ボリセンコ局長も、マラー報告書は、米大統領選へロシアが介入したとの容疑について具体的証拠がないことを認めているとも表明した。
そして、ロシア側のコンタクトについて言及しているが、それ以上の証明は為されておらず、ましてや米大統領が関わるレベルの話でもないと付言した。
また、ペスコフ報道官も、同報告書には3人のロシア人実業家の名前が挙げられているが、ウラジーミル・プーチン大統領としては、テレビ・スターでかつ実業家が米大統領に選出されることになった以上、米ロ事業関連で彼らに米側とのコンタクトを指示することは十分考えられるとコメントした。
更に同報道官は、事業関連でのコンタクトが問題だとするならば、昨日(4月18日)プーチン大統領はあるフランス人実業家と面談したが、これを以てロシア連邦のユーリ・チャイカ検事総長が、フランスによるロシア選挙への介入疑惑だとの報告書を上げるかと言ったら、そのような不合理なことが起こりえるはずがないと断罪した。
一方、4月20日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「在米ロシア大使館、マラー報告書によって毀損した米ロ関係修復を提言」
在米ロシア大使館は4月20日、マラー米特別検察官による報告書について、120ページに及ぶ分析結果を公表した。
その中で同大使館は、2016年米大統領選に関し、ロシアが介入したとの容疑について根拠がないことが明らかにされたとした。
そして、トランプ陣営とロシア側との結託との容疑についても証拠が全くないことが明白となったと言及した。
その上で、同大使館は米国側に対して、マラー報告書によって毀損した米ロ関係について、両国国民のみならず世界平和のためにも、修復すべく協力していくことを提言した。
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