米国で優れた報道などに授与されるピュリツァー賞が15日に発表され、トランプ米大統領やその一族に関する調査・報道を評価されたニューヨーク・タイムズとウォールストリート・ジャーナルの2紙ほかのメディアや個人に各賞が授与された。
『AP通信』や
『ニューヨーク・タイムズ』など多くのメディアが報じた。1917年に創設されたピュリツァー賞は、優れた報道などに授与され、毎年ニューヨークのコロンビア大学で授賞式が行われる。昨年10月、サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が殺害され、トランプ大統領が「偽ニュース」などと一部メディアを攻撃する中、同賞選考委員会は、権力に対し立ち向かい、事実を伝えた受賞者らに敬意を表明した。
ニューヨーク・タイムズの受賞理由は、トランプ氏が自力で財産を蓄えたとの主張に対し、数千頁にわたる機密記録や、明らかにされていなかった税務関係書類などの18カ月におよぶ調査によって反論し、一族が5億ドルにも上る税金逃れを行って不動産帝国を築いたことを明らかにしたことだ。またウォールストリート・ジャーナルは、トランプ氏と不倫関係にあったとする2人の女性に対し、2016年の大統領選挙の期間中、大統領の元弁護士から支払われた口止め料についての報道が評価された。
フロリダ州のサウスフロリダ・サン・センティネル紙は、昨年2月、同州パークランドの高校の銃乱射事件で17人が犠牲となった事件の報道で、最高の栄誉とされる公益部門での賞を受賞した。同紙は地元教育当局や警察機関の不作為などを暴き、多くの犠牲者が出た原因について詳細に報じた。
米国では昨年、フロリダの事件の他にも銃乱射事件が相次いで発生しており、今回、ペンシルバニア州ピッツバーグやメリーランド州アナポリスの地元紙も、乱射事件に関する優れた報道により受賞した。インターネットの普及などにより、米国の地方メディアは存続の危機にあるが、選考委員会は、地域社会のジャーナリズムの重要性を改めて強調した。
国際報道部門では、ミャンマーでイスラム系少数民族ロヒンギャに対する人権侵害を報道し、1年以上身柄を拘束されているロイター通信の2人の記者、イエメン内戦での残虐行為を報道したAP通信が受賞している。
文化や芸術の分野では、米音楽界への長年の貢献が評価されたことにより、昨年死去したアレサ・フランクリン氏に特別賞が贈られたほか、各部門の賞が授与された。
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