北欧のフィンランドで14日、議会選挙(一院制、定数200)の投開票が行われ、中道左派の社会民主党が40議席を獲得し、与党の中央党を破り第1党となった。反移民を主要政策とする欧州連合(EU)懐疑派の極右政党、フィン人党が39議席と躍進、僅か1議席差の第2党となった。欧州に広がる極右台頭の波は、フィンランドにも押し寄せている。
『AFP通信』や
『ロイター通信』などの報道によれば、56歳の元労働組合代表、アンティ・リンネ党首が率いる社会民主党は、3月に医療制度改革の失敗により退陣を表明したユハ・シピラ首相(中央党)の中道右派政権が進めていた緊縮財政を厳しく批判する選挙戦を展開し、40議席を獲得して勝利した。
フィンランド司法省が発表した最終の選挙結果によると、第1党の社会民主党と第2党のフィン人党の得票率はそれぞれ17.7%と17.5%で、0.2ポイントの僅差の勝利だった。...
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『AFP通信』や
『ロイター通信』などの報道によれば、56歳の元労働組合代表、アンティ・リンネ党首が率いる社会民主党は、3月に医療制度改革の失敗により退陣を表明したユハ・シピラ首相(中央党)の中道右派政権が進めていた緊縮財政を厳しく批判する選挙戦を展開し、40議席を獲得して勝利した。
フィンランド司法省が発表した最終の選挙結果によると、第1党の社会民主党と第2党のフィン人党の得票率はそれぞれ17.7%と17.5%で、0.2ポイントの僅差の勝利だった。社会民主党はこれまでも連立政権に参加してきたが、16年ぶりに政権を率いることになる。
今回議席を大きく伸ばしたフィン人党は、欧州議会議員で強硬派のユッシ・ハッラアホ党首率いる極右のポピュリズム政党で、選挙戦での主張のほぼ全てを反移民政策に集中させた。同党は選挙戦で国民に対し、「国境のために投票しよう」と呼びかけ、フィンランドの難民受け入れ数を「ほぼゼロ」にすると公約し、同党への支持率は、過去数カ月で急上昇していた。同党は今回議席を17から39と倍以上に増やし、2017年にハッラアホ氏を党首に選出した際に、半数以上の所属議員が離党して失った議席を全て回復した。
フィンランドの政権は、過半数の101議席以上を構成するため、3~4党の連立が一般的だ。新政権の行方は、今後社会民主党を中心とする交渉に委ねられる。選挙中に殆どの政党が、フィン人党との連立に消極的な見解を示したが、完全に否定した政党はなかった。
社会民主党のリンネ党首も以前、フィン人党との連立は非常に難しいとしていたが、14日に勝利宣言すると、一転して協力の可能性を示唆した。但し、フィン人党の掲げる基本理念が連立を組む鍵であるとして、確認したいと条件を付けた。リンネ氏はまた、38議席を獲得し第3党となった保守政党、国民連合党との連立を選択する可能性もある。
与党の中央党は、今回の選挙で第4党に転落し、既に退陣を表明しているシピラ首相は同党の大敗を認め、長い経済の停滞から脱却するために自身の政権が取った政策が敗因と説明した。投票率は72.0%と高く、2015年の前回選挙時の70.1%を超えた。
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