米連邦通信委員会(FCC)は12日、高速大容量の次世代の通信規格、第5世代(5G)移動通信システムを国内で広く普及させるために、5G用の周波数帯を拡張し、割り当ての入札を行うとともに、204億ドル(約2兆2850億円)規模の基金を設立し、地方の通信インフラの改善に投資することを発表した。
『ブルームバーグ』『CNBC』『ロイター通信』などの報道によれば、トランプ米大統領は12日、ホワイトハウスに関連企業の関係者などを招き、規制を緩和し、5G用の帯域を拡張することを明らかにした。トランプ氏は、「5Gに向けた競争に、米国は勝利せねばならない。この強力な未来の産業で、米国が他国に負けるわけにはいかない。」と強調した。
米国の通信会社は5Gの接続サービスの商用化をめぐり、熾烈な競争をしている。本格的な全米規模でのサービス提供は、まだ1年以上先になると思われるが、米通信大手のベライゾン・コミュニケーションズは3日、シカゴとミネアポリスの一部で、5Gに対応した世界初のスマートフォン向けサービスを開始している。
今回の政府の発表には、こうした民間企業の動きを後押しし、通信網の整備を行うことによって、国を挙げて5Gに取り組む中国などに対抗する狙いがある。米政府は、5Gの通信網の整備については、国営化などの連邦政府の関与強化を検討してきたが、公式な政府案は発表されていなかった。
トランプ大統領は12日、「米国の方針としては、民間企業がけん引し主導すべきだ。政府は多額の金を費やす必要はない。」と述べ、国営化などによるのではなく、民間企業がその動きを加速し、早急に5Gのサービスを展開すべきとの考えを示した。
連邦通信委員会(FCC)は同日、5Gの普及のために、これまでで最も幅広い周波数帯を解放し、3度目の割り当ての入札を行うと発表した。FCCのパイ委員長は声明で、入札は12月10日に始まり、現在5G用ではない広範な帯域を提供すると説明している。
FCCはまた、204億ドルの基金設立による投資により、通信事情の悪い、地方での接続状況を改善する方針も示した。パイ委員長によると、今後10年間で、最大400万世帯の家庭や小規模企業が高速通信網に接続される。基金の資金は、FCCが運営する既存の助成金を充てるという。
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