米カーネギー国際平和財団と英国防企業のBAEシステムズが共同でまとめた調査によれば、金融機関を標的にした国家が背後で支援するサイバー攻撃が急増している。こうした攻撃は、通常の情報漏えいよりも、壊滅的に大きな被害や混乱をもたらすという。
『ロイター通信』が先週22日、公表前に調査報告書を入手したとして、その内容を報じた。報告書は、サイバーセキュリティの脅威に対し、金融機関が脆弱性を抱えているとの懸念が高まっているとして、警鐘を鳴らしている。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長や日銀の黒田東彦総裁は今年、サイバー攻撃は現在、金融機関にとって最大のリスクであると述べていた。
報告書によると、2007年以降に報告された94件の金融機関に対するサイバー攻撃の内、政府が黒幕として陰にいると思われるものが23件あり、その大半は、イラン、ロシア、中国および北朝鮮によるものである。...
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『ロイター通信』が先週22日、公表前に調査報告書を入手したとして、その内容を報じた。報告書は、サイバーセキュリティの脅威に対し、金融機関が脆弱性を抱えているとの懸念が高まっているとして、警鐘を鳴らしている。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長や日銀の黒田東彦総裁は今年、サイバー攻撃は現在、金融機関にとって最大のリスクであると述べていた。
報告書によると、2007年以降に報告された94件の金融機関に対するサイバー攻撃の内、政府が黒幕として陰にいると思われるものが23件あり、その大半は、イラン、ロシア、中国および北朝鮮によるものである。そうした国家と関係のあるサイバー攻撃の件数は、2016年、17年には2件ずつだったが、2018年には6件に急増した。
カーネギー国際平和財団のティム・モーラー共同ディレクターは、「金融機関は現在、通常一時的な性質のものであるサイバー犯罪や政治的動機に基づいた破壊的行為だけでなく、国家による大規模な窃取にも備えておく必要がある。」と指摘している。また、「この脅威の進化は、世界中の規制当局や産業界に対し、企業固有のリスクから、業界やシステム全体のリスクの軽減へと注意を向けさせることとなった。」と説明した。
報告書はいくつかの最近の攻撃について触れている。1月には、北朝鮮政府が支援するハッカーらがチリ銀行のATMネットワークに侵入し、1,000万ドルが流出した。昨年、北朝鮮は、インドのコスモス銀行のシステムをハッキングし、28カ国から同時に1,350万ドルの資金を引き出している。
北朝鮮のハッカーらはまた、2016年にバングラデッシュ銀行のシステムに侵入し、国際銀行間通信協会(SWIFT)が運営する国際送金システムを不正利用して、同行がニューヨーク連銀に持っていた口座から、8,100万ドルを他国の銀行口座に送金したとされている。
国家が関わるサイバー攻撃には、直接政府が手を下すものと、犯罪者や「ハクティビスト」と呼ばれる社会的・政治的な主張を目的としたハッキング活動を行う者たちが政府に代わって行うものがある。
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