サウジアラビアのサルマン国王は13日、首都リヤド地区での299億リヤル(約79億7,000万ドル、約8,850億円)の開発プロジェクトについて発表した。サウジ人記者カショギ氏の殺人事件への関与が疑われるムハンマド皇太子への支持表明とみられている。
『ロイター通信』や地元サウジのメディアが報じた本プロジェクトは、医療、教育、住宅、公共交通、国営事業などにまたがる大規模なものである。国営テレビは、サルマン国王と息子で同国の事実上の最高権力者であるムハンマド皇太子が、プロジェクトに関する説明を受けている姿を放映した。
13日に発表された360の案件から成る本プロジェクトは、同皇太子ら一族への支持を表明するために相次いで公表された注目投資案件の最新のものとされる。...
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『ロイター通信』や地元サウジのメディアが報じた本プロジェクトは、医療、教育、住宅、公共交通、国営事業などにまたがる大規模なものである。国営テレビは、サルマン国王と息子で同国の事実上の最高権力者であるムハンマド皇太子が、プロジェクトに関する説明を受けている姿を放映した。
13日に発表された360の案件から成る本プロジェクトは、同皇太子ら一族への支持を表明するために相次いで公表された注目投資案件の最新のものとされる。国王は既に523億リヤル(約1兆5,500億円)に上る921案件の各種プロジェクトの開始を宣言している。
リヤード州知事のファイサル・ビン・バンダル王子は、テレビ放映されたプロジェクトの式典で演説し、この計画は、ムハンマド皇太子が立ち上げた経済改革プログラム「ビジョン2030」の一環であり、サウジはその主導力により、強力であり続けると胸を張った。
サウジアラビアは一夫多妻制で、初代国王には36人の男の子供がいたが、1953年以来、その内の6人の兄弟が第2~7代国王として王位継承を続けてきた。ムハンマド皇太子(33)は、その後の新たな世代で初めて国王になる道を歩んでいる人物であるが、同国の経済改革と厳格な社会的規範の緩和を目指している。
しかし、米国を拠点に活動していたサウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏が、昨年10月、トルコ・イスタンブールのサウジ領事館で殺害されて、事件への関与を疑われ、同皇太子の国際的名声は大きく損なわれた。サウジ政府は殺害を認めたものの、皇太子の関与については否定している。サルマン国王はその後11月に入り、ムハンマド皇太子とともに国内各地を視察し、巨額の開発プロジェクトを立ち上げた。同皇太子の名誉を回復し、後継者としての地位固めを進める狙いがあるものとみられる。
サルマン国王は、リヤード州知事を50年以上にわたり務めたが、その間に首都であり、同州の州都であるリヤドを、土の家が立ち並ぶ小都市から、高層ビルが林立し、ショッピングモールや近代的なインフラを備えた巨大都市へと変貌、発展させた力と実績がある。
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