ウラジーミル・プーチン大統領は、クリミア半島併合を理由に欧米から経済制裁を課せられて以降、特に北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対抗して、核・ミサイル武装強化に励んでいる。そして今度は、20世紀に旧ソ連時代に取り組んだものの1970年代に頓挫した超音速大型旅客機の開発について、西側諸国を凌駕すべく新たな開発・導入に励んでいる。なお、英国・フランス企業が共同開発・導入したコンコルドも、2003年に商業飛行を取り止めて撤退している。
2月12日付
『ニューズウィーク』誌:「プーチン大統領、つい最近ベネズエラまで派遣した核搭載超音速爆撃機を旅客用に開発指示」
ウラジーミル・プーチン大統領は2月12日、超音速戦略爆撃機ツポレフTu-160の近代化は成し遂げられたとした上で、今度は同機を旅客用に開発するよう指示していると表明した。
Tu-160は、NATOからブラックジャック(海賊の旗の意)と呼ばれ、数十年間ロシアの核兵器の3本柱のひとつとして活躍してきている。...
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2月12日付
『ニューズウィーク』誌:「プーチン大統領、つい最近ベネズエラまで派遣した核搭載超音速爆撃機を旅客用に開発指示」
ウラジーミル・プーチン大統領は2月12日、超音速戦略爆撃機ツポレフTu-160の近代化は成し遂げられたとした上で、今度は同機を旅客用に開発するよう指示していると表明した。
Tu-160は、NATOからブラックジャック(海賊の旗の意)と呼ばれ、数十年間ロシアの核兵器の3本柱のひとつとして活躍してきている。
そこで、ロシア政府は同機を少しでも長く就役させるべく、電気系統・エンジン・爆弾庫の近代化を図ったものである。
カザン(ロシア・タタールスタン共和国首都、モスクワの約700キロメーター東)で開催された、住宅・都市環境開発国家プロジェクトの式典に出席したプーチン大統領は、超音速戦略爆撃機としてのTu-160の近代化に満足したとした上で、同機を超音速大型旅客機に転用するとの方針を明らかにした。
同大統領は昨年1月、Tu-160を初め様々な戦闘機を製造している工場のあるカザンを訪れ、Tu-160 M2(Tu-160のアップグレード・モデル)の試験飛行に立ち会っている。
ロシアでは、旧ソ連時代の1960年代に超音速旅客機Tu-144が開発されたが、度重なる事故等によって、商業飛行は1977~1978年の僅か1年の短命で終わっている。
一方、英国・フランス企業が共同開発した超音速大型旅客機コンコルドも、2000年発生の凄惨な墜落死亡事故を契機として、2003年には商業飛行より撤退、廃棄されている。
コンコルド撤退後15年を経て、米航空宇宙局(NASA)がブーム・スーパーソニック(米航空機開発製造会社)、アエリオン(米超音速旅客機開発会社)及びボーイングとともに、新世代超音速大型旅客機の開発に取り組んでいる。
同共同事業体の計画では、音速の2倍以上(時速2,500キロメーター超)の大型旅客機を2021年に試験飛行、2023年までに商業飛行に投入する予定となっている。
なお、ロシア軍は昨年12月、ベネズエラ混乱で米ロが対立している最中、ベネズエラ軍戦闘機とともに飛行訓練させるため、Tu-160超音速戦略爆撃機をカラカス(ベネズエラ首都)まで派遣している。
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