国連が15日に公表した調査結果によると、国連およびその関連機関の職員と契約職員の約3人に1人が、過去2年間でセクハラの被害を少なくとも1回経験したことがあると訴えていることが判明した。
『ロイター通信』『AP通信』『BBC』『ニューヨークポスト』など多くのメディアが報じた本調査は、昨年11月、国連がコンサルティング会社のデロイトに委託し、世界各地の職員を対象に初めて実施した大規模なものである。調査はインターネットで行われ、回答率は17%と低かったものの、3万364人の職員から回答を得た。
この結果によると、回答者全体の33%に相当する1万32人の職員が、過去2年間で少なくとも1回のセクハラ被害に遭ったと回答した。国連に勤務した全期間についても尋ねたところ、被害を受けたことのある職員の割合は38.7%に上った。
21.7%が性的な話や不快なジョークを言われ、14.2%が容姿、身体、性的な行為に関する不快な言及をされ、13%が性的な話題の会話に引き込もうとされたと答えた。また、10.9%が性的な動作やしぐさを見せられ、10.1%が体を触られて不快な思いをしている。さらに9.1%は自らが望まない性的関係を強要されそうになり、1.3%が性的暴行を受けそうになったり、実際にレイプなどの性的暴行の被害に遭ったりしたという。
セクハラ被害を経験した人の半数以上が、被害を受けた場所は職場と回答しており、17.1%の人は、仕事に関連した行事の際に受けたと答えた。加害者は3人の内2人が男性で、25%が監督・管理者、10%が上級幹部だった。しかしながら、セクハラ被害を経験した後、何らかの行動を起こした人は34%に止まっている。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、本調査は「我々全員にとって、ハラスメントの無い職場を実現するために変更が必要なことは何かについて、はっとするような統計数字や根拠」を含んでいると指摘し、「平等や威厳、人権に基づき設立された組織として、我々は手本を示し、基準を設けなければならない。」と語った。
国連はこの数年、アフリカの平和維持活動(PKO)要員らによる、性的暴行や虐待が相次ぎ、最近でも国連合同エイズ計画(UNAIDS)が、機関内にセクハラなどを許す文化を醸成していたと組織管理の問題を批判され、事務局長が辞任の意向を表明する事態となっていた。国連は、こうした問題に関する透明性の向上や対応の強化に努めている。
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