米国では薬物過剰摂取が社会問題、財政問題として大きく影を落としているが、使用者の呼吸の異常をキャッチし、緊急援助を求める事が出来るスマートフォンのアプリが開発されているという。米国食品医薬品局(FDA)の認可が下りれば、8か月以内の販売開始を目指しているという。
1月9日付米国
『ニューヨーク・タイムズ』(AP通信引用)は「薬物過剰摂取防止用(試験的)アプリ」との見出しで以下のように報道している。
薬物を過剰摂取した人は、多くの場合、周りに人がいないため助からないケースが多い。そこでスマートフォンのアプリから呼吸を計測する音波を発し、呼吸停止を感知すれば緊急援助を要請するアプリが開発されている。
試験的段階だが「セカンド・チャンス」と名付けられたアプリで、過剰摂取の兆候をいち早く感知し、ヘロインなどの違法薬物を注射した後の生死を分ける瞬間を逃さずキャッチしようというもの。...
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1月9日付米国
『ニューヨーク・タイムズ』(AP通信引用)は「薬物過剰摂取防止用(試験的)アプリ」との見出しで以下のように報道している。
薬物を過剰摂取した人は、多くの場合、周りに人がいないため助からないケースが多い。そこでスマートフォンのアプリから呼吸を計測する音波を発し、呼吸停止を感知すれば緊急援助を要請するアプリが開発されている。
試験的段階だが「セカンド・チャンス」と名付けられたアプリで、過剰摂取の兆候をいち早く感知し、ヘロインなどの違法薬物を注射した後の生死を分ける瞬間を逃さずキャッチしようというもの。ただ、薬物を注射する前に、本人が携帯を出してアプリのスイッチをONにするのが可能かという問題があるが、ワシントン大学の研究チームは、中毒治療を受ける前の段階の人には有効なツールであり、彼らは自殺しようとしているのでなく、中毒症状があるだけで安全に行う意思はあるのだとしている。
一方、過剰摂取患者を良く診察する救命救急外科医は、このアプリがどれほど普及するか疑問視し、問題解決の画期的方法とは言えないとしている。
2017年、米国では薬物過剰摂取による死亡者は4.7万人以上。過剰摂取は呼吸を抑圧するが、ナロキソンと呼ばれる薬を直ぐに使えば一命を取り留めることができる。倒れた人を直ぐに発見できる事が条件となる。
そこで誰でも所有している携帯電話でモニタリングする方法が生まれたという。アプリでは胸の上下振動を計測し、呼吸が浅く、弱まったり、停止していないかを検知。ソフトで携帯内蔵のスピーカーやマイクロフォンから音波を発信し呼吸パターン信号を分析。だが携帯電話がポケットに入っていたら計測不能で、3フィート内に患者がいることも条件。異常の際助けを呼ぶダイヤル機能アプリは現在開発中である。
このアプリは実証実験の結果、被験者の呼吸の異常を9割以上の確率で感知したという。
同日付米国『CNBC』は「このスマホンアプリが薬物過剰摂取を感知し、あなたの命を救う」との見出しで以下のように報道している。
疾病管理予防センター(CDC)によると、米国では1日あたり130人以上が薬物過剰摂取で死亡しているという。2017年は死亡者の3分の2がオピオイドによるもので、2018年は更に増加するとみらている。薬物の処方を減らしたり、中毒治療薬も普及してきてはいるが、問題解決にかかる国家予算も多額である。
そこでワシントン大学の研究チームが、同大アルコール薬物乱用研究所と国立科学財団の助成により、緊急時に命を救うスマートフォンのアプリを開発。携帯電話を短距離アクティブ・ソーナーとして利用し、反射波で呼吸障害を感知しようというアプリである。この研究は現在FDAの認可申請中で、約8か月以内の販売開始を目指しているという。
フェンタニルなどを多量に摂取すると、急に呼吸が停止したり、呼吸器系の疾患や死を招く場合もあるが、緊急援助を自力で求められないため緊急治療を施せない場合も多く、同じ家に居ながら、異変に気づけず亡くなるケースも多々あるという。隣にパートナーがいるにもかかわらず睡眠中に死亡する場合もある。これらは大変悲劇的なケースで、研究者はこのようなリスクをアプリで軽減したいと開発している。アプリを使えば、救急車を呼んだり、家族や友人に緊急メッセージが発せられる。
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