米調査会社ロジウム・グループが8日に公表した調査結果によると、2018年に米国の二酸化炭素(CO2)排出量は大幅に増加した。エネルギー関連のCO2排出量が2017年から3.4%増加したが、これは2010年以降で最大の伸びとなった。
『AFP通信』『ロイター通信』や
『ニューヨークタイムズ』『ワシントンポスト』など多くのメディアが報じたロジウム・グループの調査は、2018年初めから8~9カ月間の、石油消費量や発電に関する米政府のエネルギー統計や、その他の官民データに基づいている。
本調査結果をまとめた報告書によれば、米国のCO2排出量は、過去3年間減少を続けてきたが、2018年には一転して前年から大きく増加した。厳しい冬が暖房用の、そして好調な経済が工業や建設、輸送部門などのエネルギー需要を押し上げたことによるものだ。
米国では石炭の消費量は減少し続けており、2018年には閉鎖された石炭火力発電所の数も過去最多を記録している。しかし多くの場合、石炭に代わって使用されたのは天然ガスであり、風力タービンや太陽光エネルギーではなかった。天然ガスの温室効果ガス排出量は石炭の約半分だが、依然として多くを排出することには変わりがなく、排出量がより少ない太陽光や風力を抑え、昨年の電力需要増大の大半を賄ったという。
米国では、輸送部門による燃料消費が、3年連続で最大のCO2排出源となった。2017年と比較し、輸送部門の排出量は1%増加したが、トラックや航空機による輸送による排出量が増加したのに対し、個人の車の排出量は横ばいだった。
本調査が対象とするエネルギー関係のCO2排出量は、米国で排出される温室効果ガス全体の約4分の3を占めている。地球温暖化の原因となるガスには、他にメタンガスなどもあり、本調査で使用したデータも年間を通してのものではないため、調査結果には推定が含まれている。温室効果ガス排出量全体の正式な統計は、2020年の米環境保護庁(EPA)による発表を待たねばならない。
トランプ政権は、経済の発展と同時に温室効果ガスの排出量削減を進めるとしているが、報告書は、温暖化対策の国際的枠組みを定めた2015年のパリ協定の下で設定した目標の達成が極めて困難になると指摘し、「米国は既にパリ協定の目標達成への道から外れている。2019年に向かうと、目標との乖離はさらに広がることになる。」と警告した。
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