黄色ベストによるデモが鎮静化したところで、今度はフランス警察が自分たちの要求を訴え始めている。未払いの残業、慢性的な人員不足、労働条件の悪化など、長年に渡る我慢が限界に達した。
フランス政府が火曜日に特別手当300ユーロ(38,000円)を発表したものの、警察官達の怒りはおさまらない。警察署を閉じ、緊急の場合以外は応じないよう呼びかけ、1月にはデモが予定された。フランスの警察で何が起きているのか。
12月19日付の『フランス24』は「テロの最前線に立つ警察は、2015年以降出動要請が増え、彼らは疲弊している。今年の夏、議会の調査委員会によって警察の“精神的疲労”が報告された。...
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フランス政府が火曜日に特別手当300ユーロ(38,000円)を発表したものの、警察官達の怒りはおさまらない。警察署を閉じ、緊急の場合以外は応じないよう呼びかけ、1月にはデモが予定された。フランスの警察で何が起きているのか。
12月19日付の『フランス24』は「テロの最前線に立つ警察は、2015年以降出動要請が増え、彼らは疲弊している。今年の夏、議会の調査委員会によって警察の“精神的疲労”が報告された。このような状況の中で警察は、“黄色いベスト”への対応が求められ、ついに堪忍の緒が切れた。」と解説している。黄色ベスト対応の中、ストラスブールでのテロ事件による更なる残業を強いられたフランス警察。12月18日付けの『フランス2仏放送局』では、パリで勤務しているある警察が、「黄色ベストデモのために10日間、毎日10時間から14時間働き、休日もなく飲食する時間もなく働かなければならなかった」と訴えている。
テロ事件が頻発しているフランスでは、警察の業務量が増え、不満が溜まっている。これを是正するため、フランス政府は11月中旬に2,500人の新しい警察官を増やすことを発表している。 2022年までには10,000人を新たに増員するという約束も「系統的に実行されている」と内務省のカスタネル大臣は述べている。
しかし疲労に加えて、毎年300万時間の残業時間が未払いであることに多くの警察官の間に不公平感がある。彼らの怒りを静めるため、内務省は水曜日に、警察の残業時間2億7,400万ユーロを支払う「カレンダー」の設立を提案した。
また、警察の不満は給料にも向けられている。マクロン大統領が、「黄色いベスト」デモの警備に動員された警察官には特別手当てが出すことを発表したが、警察官たちは、給与や休日手当、夜間手当そのものの見直しを求めている。そこで水曜日、内務省と警察の労働組合との話し合いが急遽行われ、来年1月より給与を40ユーロ増額、2019年7月には更に30ユーロ増額、2020年に再度30ユーロ増額が決まった。また2019年1月より危険特別手当も1%、2020年1月には0.5%上げることが決まった。これにより毎月120(約1万5000円)から150(1万9000円)ユーロの増額となる見通しだ。
警察組合と内務省との間で6時間にわたる協議が行われた後、水曜日の夕方に合意に至ったという。紺色制服によるデモ、警察機能のマヒは何とか免れたようだ。
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