ベルギー、ドイツ、フランスに囲まれたヨーロッパの小国ルクセンブルクでは、隣国からの車通勤による渋滞が深刻な問題で、国としては初めて、来年夏から公共交通機関を全面無料化するという。また、大麻合法化も検討中だという。
12月5日付英国
『ガーディアン』は「ルクセンブルクで世界初、公共交通機関無料化へ」との見出しで以下のように報道している。
ルクセンブルクで電車、路面電車、バスの料金が来年夏から無料に。民主党連立政権で二期目のベッテル政権の環境対策の一環で、交通対策の他、大麻の合法化と祝日増加も検討中だという。首都ルクセンブルクシティは、世界でも交通渋滞がひどい都市で、市の人口11万人に対し、通勤で40万人以上が都心に向かう。...
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12月5日付英国
『ガーディアン』は「ルクセンブルクで世界初、公共交通機関無料化へ」との見出しで以下のように報道している。
ルクセンブルクで電車、路面電車、バスの料金が来年夏から無料に。民主党連立政権で二期目のベッテル政権の環境対策の一環で、交通対策の他、大麻の合法化と祝日増加も検討中だという。首都ルクセンブルクシティは、世界でも交通渋滞がひどい都市で、市の人口11万人に対し、通勤で40万人以上が都心に向かう。調査によると2016年の通勤が原因の交通渋滞時間は平均33時間だった。国の総人口は60万人だが、フランス、ベルギー、ドイツの住人計約20万人が国境を越えてルクセンブルクに通勤しているという。
同国では、交通対策の一環で今年から小児と20歳未満の交通料金を無料化。中学生は通学に無料シャトルバスを利用でき、通勤客は2ユーロ(約250円)で2時間乗り物放題。そして2020年より、乗車券販売に関わる諸手数料削減のため、全ての乗車券を廃止する。しかし、全面的な制度整備は整っておらず、ファーストクラス級の乗車料金設定等に関しては未決定。
同日付英国『インディペンデント』は「ルクセンブルク、全交通機関無料化へ」との見出しで以下のように報道している。
英国では来年から交通機関の料金を3.1%値上げするというのに、ルクセンブルクは、交通機関の料金を無料にする最初の国になろうとしている。新連立政権は、来夏から公共交通機関の乗車券を廃止すると発表。
現在料金は乗車2時間以内で一律2ユーロと低水準に設定されており、これで小国のほぼ全土に行ける距離となっている(ルクセンブルクの総面積は、約2500k㎡)。ファーストクラスは3ユーロ、1日乗車券は、4ユーロ。無料化へのコストの一部は、通勤客への税優遇措置の廃止で賄う予定である。
ルクセンブルクの渋滞は深刻な問題。世界でも都心部では車両渋滞対策として、交通機関を無料化しており、米国ではバスが無料の郡もある。だが全交通機関を無料化した国はない。
しかし同国では、この政策を、通勤客すべてが賛成しているともいえない。電車通勤しているある教師は交通の質が落ちるのではと懸念し、車通勤を辞める人が増えるとは考えていないという。もしこの無料化策が成功すれば、隣国フランスも、ニースなど各地へ一律1ユーロでバスに乗れる等の形骸化したバスサービスをやめるかもしれない。また、懸念されているのは、冬に暖を求めてホームレスが電車に乗り込んでくるのではということ。
新政権は大麻合法化や5月9日を新たな祝日“ヨーロッパ・デー”とする祝日増加にも取り組んでいる。
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