スウェーデンは世界で最もキャッシュレス化が進んだ国の1つと言われているが、同国中央銀行のスキングスレー副総裁は4日、同国は5年以内に完全なキャッシュレス社会に移行するとの見通しを示した。
『ロイター通信』が伝えたところによると、同国中央銀行であるスウェーデン国立銀行(リクスバンク)のセシリア・スキングスレー副総裁は、ロンドンの銀行関連の会議で、「スウェーデンはおそらく今後3~5年でキャッシュレスとなるだろう。」と述べた。
同国ではレストラン、バス、駐車場、そして有料トイレもキャッシュレス化され、何年も前から現金の使用が減少している。最近では、スマホ決済や他の新技術の台頭により急速にキャッシュレス化が進み、紙幣や硬貨の使用は、ほぼ無視できる量にまで落ち込んだ。...
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『ロイター通信』が伝えたところによると、同国中央銀行であるスウェーデン国立銀行(リクスバンク)のセシリア・スキングスレー副総裁は、ロンドンの銀行関連の会議で、「スウェーデンはおそらく今後3~5年でキャッシュレスとなるだろう。」と述べた。
同国ではレストラン、バス、駐車場、そして有料トイレもキャッシュレス化され、何年も前から現金の使用が減少している。最近では、スマホ決済や他の新技術の台頭により急速にキャッシュレス化が進み、紙幣や硬貨の使用は、ほぼ無視できる量にまで落ち込んだ。今年9月の英『BBC』の報道によれば、昨年同国での現金を使った決済の比率は1%にまで減少し、全国の実店舗での現金支払いの割合は20%で、これも5年前から半減した。
同国の銀行では、現金を扱わない店舗が増え、現金自動預け払い機(ATM)の数も減少している。リクスバンクは最近紙幣や硬貨を刷新したが、対応したレジへの投資を見送るなどして現金を受け付けない小売店が増えたことも、キャッシュレス化を後押しした。
同国生まれの「スウィッシュ(Swish)」というスマホ決済システムは、個人の金のやり取りにも使えるため広く普及しており、国民の半数以上が利用していると言われる。米紙『ニューヨークタイムズ』は先月、スウェーデンのキャッシュレス化の進展と、機械化に取り残される可能性のある高齢者への対策などの課題について報道したが、18~24歳の若者の買い物の95%が、デビットカードやスイッシュで決済されていること、また手に埋め込んだマイクロチップで支払いをするシステムも導入されていることなどを報じた。
スキングスレー副総裁が述べたように同国が完全にキャッシュレス社会に移行した後に、現金の流通が禁じられるということではないが、現金の使用が必要な企業や国民は殆どいなくなるため、実際には使えないことと同様の状態になるものとみられる。
今後予想される大きな状況の変化に適応するため、中央銀行自体も進化する必要がある。リクスバンクは自前のデジタル通貨「イークローナ(e-krona)」を導入することを目指しているが、世界の決済市場を支配しようとする民間企業が創り出す通貨を規制し、管理する立場を取る可能性もあるという。
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