世界銀行は3日、気候変動対策として2021~25年の5年間に2,000億ドル(約22兆7000億円)を投資すると発表した。2020年までの現在の5年間の額からは倍増となる。
『AFP通信』、
『ブルームバーグ』、
『ガーディアン』などの報道によると、世銀は、世界の190を超える国と地域が参加して、ポーランドのカトヴィツェで開幕した国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)に合わせ、今回の増資計画を発表した。世銀は、気候変動に取り組むための「著しく高まった熱意」を表すとともに、「同様の取り組みを進めるよう、より広範な国際社会に重要な信号を送る」意図があると説明している。
世銀の声明によれば、2000億ドルの内の約1000億ドル(約11兆3600億円)は世銀の直接投資、残りの約3分の1は世銀グループの2つの機関が拠出し、その他については民間資本を募ることとしている。高品質の天候予測、早期警戒システムや気候情報サービスなどへの支援などを念頭に置いており、40カ国でのより気候対応型の社会保護制度の構築や、20カ国での気候変動対応型「スマート」農業への投資などを対象としているという。
世銀の気候変動担当シニアディレクターを務めるジョン・ルーム氏は、「もし我々が今温室効果ガス排出量を削減し、適応強化を図らなければ、2030年までにさらに1億人が貧困に陥る。」と警告し、「アフリカ、南アジア、中南米の3地域だけで、この問題に積極的に対応しない場合でも、1億3300万人の気候移民が生まれる。」と続けた。
気候変動対策のための投資の多くは、再生可能エネルギーの開発などを通じた温室効果ガスの削減に振り向けられてきたが、数百万人の人々が既に異常気象の影響と戦っている現状を勘案すると、気候への適応支援の強化が重要な優先事項と世銀は指摘している。
こうした状況を踏まえ、世銀は初めて、適応支援という対応面を温室効果ガス排出量の削減と同様に重視することとし、2021~25年の直接投資額を約500億ドル(約5兆6800億円)にまで引き上げることとした。
世銀のクリスタリーナ・ゲオルギエヴァ最高経営責任者(CEO)は、気候変動の「原因」と戦わなければならないが、海面の上昇、洪水、干ばつに直面して緊急な措置が必要であることを考慮すると、世界の貧困層の人々にとってしばしば非常に劇的な影響をもたらす、気候変動の「結果」にも対応していかなければならないと語った。
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