カナダ移民・難民・市民権省が15日に発表したデータによると、2017年にカナダへの亡命を申請した米国人は2,550人に上り、前年の395人から6倍以上に増加した。トランプ政権の移民に対する厳しい姿勢により、米国を逃れて隣国カナダへ亡命しようとする人が大きく増加したものとみられる。
『CNN』『ロイター通信』『RT』などによれば、2017年のカナダへの亡命申請者数は、記録を取り始めた1989年以来最高を記録し、その中で米国は3番目に多い2,550人だった。1位は中米のハイチで7,785人、2位は西アフリカのナイジェリアで6,005人が申請を行った。
カナダの当局者は以前から、同国は移民を歓迎する開かれた国であることに変わりはないが、入国イコール永住権の切符ではないとして、「亡命を求めてカナダに来ても、永住権は保証されない。...
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『CNN』『ロイター通信』『RT』などによれば、2017年のカナダへの亡命申請者数は、記録を取り始めた1989年以来最高を記録し、その中で米国は3番目に多い2,550人だった。1位は中米のハイチで7,785人、2位は西アフリカのナイジェリアで6,005人が申請を行った。
カナダの当局者は以前から、同国は移民を歓迎する開かれた国であることに変わりはないが、入国イコール永住権の切符ではないとして、「亡命を求めてカナダに来ても、永住権は保証されない。」と釘を刺していた。しかし、カナダへの亡命申請者は今年さらに増加する勢いであり、米国人の申請者も8月末現在で1,215人に上る。
王立カナダ騎馬警察によれば、米国からの亡命申請者の約80~85%はハイチ系で、その殆どが移民の親と米国で生まれた未成年の子供であるという。カナダ移民・難民・市民権省の広報担当者ピーター・リャン氏が、「亡命を申請する米国人の圧倒的多数は、親が他国の国民である米国生まれの未成年者だ。」と述べている。
ハイチ系の移民の多くは、米国での滞在を一時的に認めるTPS(一時保護資格)を失う不安からカナダを目指しており、米国に滞在し続ければ、母国に強制送還されるのではないかと考えている。カナダ東部のモントリオールに大きなハイチ系移民のコミュニティーがあり、多くの亡命希望者が同市のあるケベック州を目指すという。
ハイチ人を対象とするTPSは、2010年に同国を襲った壊滅的な地震の後、オバマ前政権が導入し、既に米国内に居住する約5万9,000人のハイチ人に対し滞在と就労を認めた。同制度はその後繰り返し更新されたが、2017年に米国土安全保障省が、ハイチの状況が改善したとして打ち切りを表明していた。
トランプ政権はハイチの他、スーダン、エルサルバドル、ニカラグアなどからの移民のためのTPS制度を廃止しようとしているが、先月カリフォルニア州の連邦裁判所が、これを一時的に差し止める命令を出した。
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