英国で15日、閣議で承認した欧州連合(EU)離脱の条件に関するEUとの合意草案に反発し、ラーブEU離脱担当者など閣僚ら4人が辞任した。与党・保守党の離脱強硬派の議員らも草案に反発し、首相の不信任投票実施を目指しており、メイ首相は政権や自らが率いる保守党内からの反対への対応を迫られ、窮地に陥っている。
EUからの離脱協定に関する草案を巡り15日、ドミニク・ラーブEU離脱担当相の他、エスター・マクベイ雇用・年金相と閣外相の2人が相次いで辞任した。ラーブ離脱担当相は、「政権公約で約束した条件については妥協できない。」と述べて、現在の草案を支持できないと抗議の辞任に踏み切った。
草案にはアイルランド国境管理の厳格化の回避や、英国のEU離脱に伴う清算金支払いなどが含まれている。テリーザ・メイ首相は、草案の内容は十分に満足できるものではないが、来年3月29日にEUから離脱する際に望みうる最高の条件であることを強調した。...
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EUからの離脱協定に関する草案を巡り15日、ドミニク・ラーブEU離脱担当相の他、エスター・マクベイ雇用・年金相と閣外相の2人が相次いで辞任した。ラーブ離脱担当相は、「政権公約で約束した条件については妥協できない。」と述べて、現在の草案を支持できないと抗議の辞任に踏み切った。
草案にはアイルランド国境管理の厳格化の回避や、英国のEU離脱に伴う清算金支払いなどが含まれている。テリーザ・メイ首相は、草案の内容は十分に満足できるものではないが、来年3月29日にEUから離脱する際に望みうる最高の条件であることを強調した。
メイ首相は、「選択肢は明らかだ。合意なき離脱を選択するか、離脱を断念するか、我々が意思を統一して、交渉可能な最善の取り決めを支持するかだ。」と述べ、現在の合意草案を選択しない場合のリスクを警告した。
EU首脳らは25日に英国の離脱協定に関する臨時首脳会議を開催することとしている。もし首脳らが合意を承認すれば、英国議会は12月初めに採決を行うこととなる。しかし、議員らは党派を問わず、草案が議会の承認を得ることはないと通告した。
議会内の離脱強硬派は、草案はEUやEU残留派に譲歩し過ぎると主張し、強く反対している。一方EU残留派は、EUとの緊密な連携や、最終的な合意について2回目の国民投票を求めている。
メイ首相は15日の記者会見で、離脱協定の草案内容を堅持すると改めてその決意を表明し、来年の離脱を成功させるために「最後までやり遂げる。」と退陣要求をかわした。首相は辞任した閣僚らの不満は理解するとしながら、「私が提示した選択肢が、わが国と国民にとって正しいと完全に信じている。」「英国にとって最善の合意を得るという自分の仕事をやり抜く。」と語った。首相は、2016年の国民投票の結果を尊重する意向を示しており、再投票は行わないとしている。
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