英スコットランド自治政府のジョン・スウィニー副首相は8日、域内の学校に対し、性的少数者(LGBTI)の権利などに関する授業の実施を義務付けるよう教育課程を改定する方針を明らかにした。LGBTIの歴史、用語、自己認識、同性愛への嫌悪や偏見への対策などを教えるもので、世界の国や地域で初の取り組みとなるという。
本措置は、LGBTI問題の学校教育課程への導入を求める運動団体(TIE)が主導するグループの提言を、政府が全面的に受け入れて実現するものである。同グループは、教師に対する無料の研修や、新たな教材の提供など、学校内でのLGBTIへのいじめなどにいかに取り組むかに関する33項目の提言をまとめた報告書を発表していた。
TIEの共同創設者であるジョーダン・デイリー氏は、スコットランド自治政府が、これらの提言を全面的に受け入れる決定をしたことは、非常に大きな勝利としている。...
全部読む
本措置は、LGBTI問題の学校教育課程への導入を求める運動団体(TIE)が主導するグループの提言を、政府が全面的に受け入れて実現するものである。同グループは、教師に対する無料の研修や、新たな教材の提供など、学校内でのLGBTIへのいじめなどにいかに取り組むかに関する33項目の提言をまとめた報告書を発表していた。
TIEの共同創設者であるジョーダン・デイリー氏は、スコットランド自治政府が、これらの提言を全面的に受け入れる決定をしたことは、非常に大きな勝利としている。デイリー氏は、「全校でLGBTIの問題を組み込んだ教育が導入されるのは世界初であり、世界的に不確実な時代に、LGBTIの若者に対し、ここスコットランドで彼らが高く評価されているという強く明確なメッセージを送ることになる。」と語った。
TIEの調査によれば、スコットランドのLGBTIの生徒10人の内9人が、学校で他人から同性愛への嫌悪の感情を向けられたり、いじめに遭ったりしており、自殺を図ったことのある生徒も27%に上った。別の調査でも、スコットランドの63%の若者が、常時またはしばしば同性愛を嫌悪する人からの中傷に悩まされているとの結果が出ている。
今回決定された教育課程変更の正式なスケジュールは明らかにされていないが、スウィニー副首相はスコットランド議会で8日、できるだけ早く実現するよう、政府は真剣に取り組むと強調した。
スウィニー副首相は、「我々の教育システムは、全ての人が潜在能力をフルに発揮できるよう、支援しなければならない。それゆえ、教育課程は学校で学ぶ若者に応じた多様性を持ったものであることが不可欠だ。」「受け入れた提言は、LGBTIの若者の学習体験を向上させるだけではなく、学習する全ての人が、違いを良いこととして受け止め、理解を促進し、受容を奨励するよう支援していくものだ。」と述べた。
自治政府のニコラ・スタージョン首相も、ツイッターへの投稿で、今回の措置が、さらに全ての人に開放された教育システムに繋がると期待感を示した。
閉じる