米サンフランシスコでは、住宅価格が高騰しており、ホームレスが増加している。同市では、ホームレス対策のために大企業に課税することを定めた法案が、6日に行われた有権者による投票で可決された。
同法案は、「提案C(Proposition C)」と呼ばれ、今夏2万8,000人の署名を得て、提出されたものである。7日に公表された投票結果によると、同市の約60%の有権者が、法案に賛成した。
同税は年間5,000万ドル(約57億円)超の収益のある大企業に対し課され、年間2億5,000万~3億ドル(約285~340億円)の税収を見込んでおり、サンフランシスコでは、史上最高の法人増税となる。...
全部読む
同法案は、「提案C(Proposition C)」と呼ばれ、今夏2万8,000人の署名を得て、提出されたものである。7日に公表された投票結果によると、同市の約60%の有権者が、法案に賛成した。
同税は年間5,000万ドル(約57億円)超の収益のある大企業に対し課され、年間2億5,000万~3億ドル(約285~340億円)の税収を見込んでおり、サンフランシスコでは、史上最高の法人増税となる。税金の使用用途としては、5,000人分の住宅の供給に加え、精神疾患への対策や家賃補助などが考えられている。
サンフランシスコでは、IT産業の隆盛によって住宅が高騰し、狭い1ルームのアパートでも、家賃が月3,000ドル(約34万円)もする地域もあり、通常の一戸建ての購入には、少なくとも約100万ドル(約1億1,400万円)を用意する必要があるという。住宅事情の悪化によりホームレスは年々増加し、肉体的、精神的な病を患う人も増えている。
同市はネット上で宿泊施設を仲介するエアビーアンドビー、配車サービスのウーバー、企業向けクラウドコンピューティングサービスのセールスフォース・ドットコム、ソーシャルメディアのツイッターなど、多くのIT関連ビジネスを手がける大手企業が本社を構えている。「提案C」については、これらの企業の間でも賛否両論があった。
セールスフォースのマーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)は、「提案C」を支持し、法案に賛成する運動に、同社と同氏個人から780万ドル(約8億9,000万円)以上の資金を提供した。ベニオフ氏は投票前、シリコンバレー周辺の多くの億万長者らが、富を「ため込むだけ」であると嘆いていたとされる。ベニオフ氏は、「提案Cの勝利により、ホームレスの人々が住宅と必要な支援を得られる」とツイッターに投稿した。
一方、ツイッターのジャック・ドーシーCEOら複数の企業トップは、法案に懸念を表明していた。ドーシー氏は市の税制の複雑性を説き、ツイッター上でベニオフ氏と議論を展開。「一時的な満足を得る措置ではなく、長期的な解決手段」を求めるとの見解を示した。両氏の議論により、本法案の帰趨は全米で注目されることとなった。
閉じる