米国で百貨店「シアーズ」などを展開する小売りチェーン大手のシアーズ・ホールディングスは15日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条の適用を、ニューヨーク州の破産裁判所に申請したことを発表した。
シアーズは1886年創業の歴史ある企業であり、百貨店の草分けとして、20世紀半ばまでに北米各地で店舗網を拡大し、米国を代表する企業となった。しかし最近では、専門店や米アマゾン・ドットコムに代表されるインターネット通販事業の隆盛により、顧客離れが止まらず、小売店の淘汰が進む中で数百店を閉鎖する厳しい経営が続いていた。
同社は50億ドル(約5,600億円)超の累積債務を抱え、5日は債務1億3,400万ドル(約150億円)の返済期限であったが、債権者と協議の結果、自力での経営再建を断念、裁判所の管理下で再建を目指すこととした。...
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シアーズは1886年創業の歴史ある企業であり、百貨店の草分けとして、20世紀半ばまでに北米各地で店舗網を拡大し、米国を代表する企業となった。しかし最近では、専門店や米アマゾン・ドットコムに代表されるインターネット通販事業の隆盛により、顧客離れが止まらず、小売店の淘汰が進む中で数百店を閉鎖する厳しい経営が続いていた。
同社は50億ドル(約5,600億円)超の累積債務を抱え、5日は債務1億3,400万ドル(約150億円)の返済期限であったが、債権者と協議の結果、自力での経営再建を断念、裁判所の管理下で再建を目指すこととした。発表によると、3億ドル(約336億円)の事業再生融資を確保済みであり、さらに追加の3億ドルの融資について交渉中であるという。
シアーズ・ホールディングスは、全米で百貨店「シアーズ」、ディスカウント店「Kマート」を約870店運営している。同社の従業員数は、10年前には約35万人であったが、2月の米証券取引委員会(SEC)への報告書では8万9,000人、直近では6万8,000人にまで減少していた。
新たなリストラ計画として、同社は現在展開する店舗の内、不採算の46店を11月までに閉鎖する従来の計画に加え、142店を年内に閉鎖する。エドワード・ランパート会長兼最高経営責任者(CEO)はCEOを退任するが、会長職には留まる見込みである。
シアーズは創業当初からカタログによる通信販売を手がけ、家にあるものの実質全てを注文することができた。当時の米国人のライフスタイルは一変し、古い世代にとっては、同社は子供時代から家族の生活の重要部分を占めていた。現在、同社のような従来型ビジネスは、いずれもネット通販の成長で苦境に陥っており、同社の破産申請は時代の流れを感じさせる。玩具量販店大手の米トイザラスは米国事業の清算に踏み切り、メーシーズ、JCペニーなどの百貨店チェーンも多くの店舗を閉鎖した。
米国のショッピング・モールには、最近こうした店舗に代わり、ネット通販業者が出店する店舗・レストランや娯楽施設、流行のスポーツジム、デーブ&バスターズのようなスポーツバーとレストラン、ゲームセンターの複合施設などが入っている。
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