英科学誌「ネイチャー(Nature)」は10日、地球の壊滅的な気候変動を回避するため、肉の消費量を大幅に削減することが必須であるなどとして、人類の食が環境に及ぼす影響の大きさを示す研究結果を公表した。2050年までに100億人に達すると見込まれる世界人口を持続的に養うためにも、欧米諸国では肉の消費量を90%削減するよう提言している。
ネイチャーに掲載されたオックスフォード大学の研究員らによる論文は、集約農業が地球環境にいかに影響を及ぼすかについて、最も包括的な見方を提供している。論文で科学者らは、植物性食料中心の食生活への「世界的な移行」、食品廃棄物の削減、環境への負荷に対処するための先進技術の活用による農業慣行の改善などの対策を求めた。
食料生産は気候変動に繋がる大きな要因となっている。特に畜産業は、地球環境への三重の脅威であり、家畜が温室効果ガスのメタンガスを大量に排出し、CO2を吸収する森林が放牧地を確保するために伐採されて失われ、さらには家畜を維持するために大量の水が消費される。...
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ネイチャーに掲載されたオックスフォード大学の研究員らによる論文は、集約農業が地球環境にいかに影響を及ぼすかについて、最も包括的な見方を提供している。論文で科学者らは、植物性食料中心の食生活への「世界的な移行」、食品廃棄物の削減、環境への負荷に対処するための先進技術の活用による農業慣行の改善などの対策を求めた。
食料生産は気候変動に繋がる大きな要因となっている。特に畜産業は、地球環境への三重の脅威であり、家畜が温室効果ガスのメタンガスを大量に排出し、CO2を吸収する森林が放牧地を確保するために伐採されて失われ、さらには家畜を維持するために大量の水が消費される。500グラムの牛肉の生産には、約7,000リットルの水が必要であるという。
論文では、肉の消費量を大幅に削減しなければ、食品業界が既にもたらしている環境への多大な影響が、今世紀半ばまでに最大90%増大すると警告している。世界人口の急激な増加が見込まれる一方、発展途上国の人々が豊かになり、欧米のような肉の多い食事をすると、人類全体が効果的に食料を得られなくなるとともに、地球温暖化が抑制不能となる可能性がある。
専門家らは、肉の消費量を削減することが、一般市民が気候変動への対処に明らかに貢献できる1つの方法であるとして、世界的に植物性の食料をさらに多く摂取する食生活に移行するよう呼び掛けている。
食品廃棄物の削減について、論文は、ずさんな管理によって無駄になったり、捨てられたりする食料を半減するだけでも、環境への負荷を16%削減できると説明している。そのための解決策として、教育や農業・畜産産業の改革、効率化などを挙げた。
研究を主導したオックスフォード大のマルコ・スプリングマン氏は、「いかなる単独の解決策も、地球の限界を超えることを避けるためには不十分だが、複数の解決策が同時に導入されれば、増加する人口を持続的に養うことができるかも知れない。」と述べた。
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